英国の「税のデジタル化」物語

 

英国の「税のデジタル化」物語

 

目次

一. 英国における電子国家の沿革

 1.キャメロン政権以前の電子政府の取り組み

 2.政府デジタルサービス(GDS)の導入

   参考:英国歳入関税庁におけるデジタル戦略の推進体制

 3. GDSの設置に伴う政府CIOの役割の変容と見直しの動き

二.内国歳入関税庁(HMRC)での電子化の歩み

   1.英国歳入関税庁のCIO、業務のデジタル化と組織の変革に挑む

   2.内国歳入関税庁(HMRC)における大機構改革と税のデジタル化計画

  (1) 内国委歳入関税(HMRC)は、将来の税務当局に適合するための、10年の近代化計画の次のステップを発表

  (2) 税務行政のデジタル化の概要

三. 第三者の見方

 1.英国会計検査院の講評等

    2.影の大蔵省の委託を受けた学者グループのHMRCについての勧告

 3.電子政府の国連のランク付け

 

 

 

一.     電子国家の沿革

 1.キャメロン政権以前の電子政府の取り組み

英国における政府CIOの設置は2004年に遡る。同年に電子政府を司る組織として、内閣府のもとに電子政府局(E-government Unit)が設置され、電子政府局の長が電子政府全体を統括する政府CIOの職に就くこととなった。政府CIOの役割としては、以下のような役割が政府内で期待されている。

①  省庁間の連携と業務に合った形でのIT戦略およびIT政策の策定

②  市民中心の公共サービス改革への支援

③  企業向けサービスの改革の実現

④  その他ITに関する変革の推進

⑤  コスト面で効率的な情報セキュリティ対策の推進

⑥  ITの活用によって可能となる改革の範囲の拡大

⑦  ITベンダとの協業体制の構築

⑧  他の国や組織からの経験の学習および共有

さらに、政府CIOが主宰し、政府CIOと各省庁、自治体、エージェンシー等のCIOで構成されるCIO協議会が2005年に設置された。同協議会では、政府全体での変革を支援し、ITによる業務改革を推進するための能力を高めるような政府全体でのアジェンダの設定と実施について主導すると共に、各組織におけるITプロジェクトをどのように進めるか、またその際の連携の可能性について検討が行われることになった。

このような体制の下で、2004年以降政府CIOの主導のもと様々な改革が進められた。

 

2.政府デジタルサービス(GDS)の導入

  そもそも、英国における電子政府政策を見るうえで大きな転換点となったのが2010年の政権交代でした。キャメロン首相は政府から半ば独立してデジタル化の推進のリーダとしての役割を果たすDigital Championとして、マーサ・レーン・フォックス氏を任命し、同氏は英国政府の当時のポータルサイトDirectgovの改善策に関する報告書” Directgov 2010 and Beyond “を提出したのでした。その内容は従来型の電子政府からの転換を促すものであり、デジタルサービスを標準的なサービスとする、いわゆるデジタル・バイ・デフォルト(Digital by Default)の推進を柱とするものでした。の勧告に従って、Directgovと内閣府のデジタル配信およびデジタルエンゲージメントチームの合併により作成された組織の新しい名称です。 組織はクリスチャントの指導を受け、 効率性と改革グループの一環として内閣府に拠点を置いた。 Lane Foxは2000年代初めのドットコムブームでLastminute.comを共同設立し、 その後公共サービスのデジタルプロジェクトを担当しました。

彼女は、「あなたがオンラインで結ばれていなければ、将来あなたが私たちの社会の正しい市民になることはできないと思っています」と主張し、彼女の報告書は、政府が提供する取引サービスの量と質を向上させるための具体的な措置を概説しています。 しかし、これはほんの始まりで、政府は、英国の消費者、納税者、事業者、市民に真の改善を提供できるように、より劇的な対策、例えば他の組織への情報やサービスの提供や開放などを検討しなければならないと指摘しました。

 

3. GDSの設置に伴う政府CIOの役割の変容と見直しの動き

英国政府における政策の重点が伝統的な電子政府からデジタルサービスの推進へとシフトし、その中心組織としてGDSが設置され活動を開始するのと反比例するように、政府CIOの役割は次第に縮小していった。2011年のICT戦略では引き続き政府CIOを設置する方針が示されたこともあって、政府CIOは残されたものの、これまでと違い政府CIOは省庁のCIOが兼任する形が採られた。

このように政府、各省ともCDOとCTOとの二枚看板での推進体制のもと、政府横断的にデジタルサービスの推進が図られることになったが、英国政府で特筆すべき点としては各省の自律的な取り組みが重視されている点にある。その具体的には歳入関税庁(HMRC)の事例の記事[リンク]を参照いただきたいが、GDSは政府全体としての戦略を定め、その推進を図るものの、基本的には省庁の求めに応じて必要な助言や技術的支援を行うという、ソフトな形でのデジタルサービス推進という方向性が見られる。

 

参考;歳入関税庁(HMRC)の事例の記事[リンク]

 

英国歳入関税庁におけるデジタル戦略の推進体制

 

一般社団法人 行政情報システム研究所 主席研究員 狩野 英司

 

本誌2016年4月号の記事「英国の政府CIO制度の見直し」では、英国政府が政府CIO制度を廃止しつつも、異なる形で全体最適に向けた体制の強化を図っていく姿を解説した。本コラムでは、こうした見直しに伴い個別の行政機関に一層の自主的な努力が求められる中で、それらの機関がどのように電子政府の推進に向けた体制強化を図っているのかを、英国歳入関税庁(HerMajesty’s Revenue and Customs)(以下「HMRC」)を例にとって紹介する。

 

  1. 明確なビジョンに基づく業務・システム改革

HMRCは、デジタル化に向けた積極的な取組みで知られる官庁であり【注1】、本誌2015年10月号でも地下経済対策としての高度なデータ分析・活用の事例を紹介している【注2】。2年あまり前に発足した現最高責任者Chief Digital &Information Officer(以下「CDIO」)のチームは、議会からのコスト削減要求(向こう5年間で25%削減)、340億ポンドに達するタックスギャップ(理論税収と実際税収の乖離)、根強い紙文化(英国内で5番目に多く印刷物を排出)、レガシーシステム、ベンダーへの丸投げ体質など山積する課題に対し、以下のようなビジョンに立って業務・システムのアーキテクチャを構想し、改革に取り組んでいる。

・ コンバージェンス(収束化)…顧客データ、業務プロセス、アプリケーション、インフラなどを収束化し、シンプルにしていこう。

・ データハブ化…運用データ、取引データ、顧客データ、システムのデータなどあらゆるデータを単一のハブに集中させ、リスクの検出、詐欺の防止などの事業に活用しよう。

・ クラウド化…レガシーシステムから脱却し、物理的なインフラは何も持たないようにしよう。

・ オープン化…OSSを活用しながら特定ベンダーへの依存から脱却しよう。

また、これと併せて、調達の最適規模への分割、紙のデジタル化とプロセスのシンプル化を軸とする業務改革などに取り組むことで、過去5年間で22%のコスト削減を実現する一方、90%もの高い顧客満足度を達成している。さらに、googleアプリの利用、タブレット端末やWi-Fi環境の導入、テレワークの推進などの働き方改革も進めている。

 

  1. 情報システムの責任者からデジタル戦略の責任者へ

HMRCの電子政府戦略の最高責任者CDIOは、一般的にCIOが責任を負うITの戦略や運用にとどまらず、その名称のとおり組織のデジタル戦略やデータ戦略を推進する役割をも担っている【注3】。改革にあたり掲げている基本戦略も、

・「データ駆動型組織に移行する」

・「 デジタルでの対話を標準にする」

という、新しい役割にふさわしい内容である。近年、民間企業ではデジタル戦略におけるCMO(ChiefMarketing Officer) の比重が高まっているとされる【注4】が、データを基軸とした事業展開を目指すという点で、HMRCでもこれと似た役割のシフトが行われていると言い得る。

さらに他省庁同様、別途CTO(Chief Technology Officer)を設置し、技術に関する機能を担わせた上で、CDIOとCTOの両者で分担・協調しながら、戦略を立案・推進している。(図1参照)

もちろん役割分担はあくまで枠組みに過ぎない。実際に改革を実行し、成果を出すために必要となるのは、CDIOのマーク・ディーンリー氏によれば、「巨大な決意」と「長期戦の覚悟」である。

表1  HMRCのCIOの守備範囲と特徴

旧来型電子化推進体制

HMRCの戦略推進体制

・    CIOの責任範囲はシステムまでであり、事業部門に口出しできない。

・ データ管理の責任が曖昧

・ CDIOが事業・システム・データを一気通貫で見ている。

・ その上で従来業務はCTOと役割分担

 

 

  1. 主体的・戦略的な人材確保

HMRCはこうした戦略の実行を支えるIT人材の獲得・育成に大きな力を注いでいる。必要な人材を庁内や他省庁からの募集で確保できなければ、民間からも積極的に採用しており、2015年10月までの半年間で、304のポストに約1,600人の応募者を集めている。若手を職業キャリアの初期から採用・育成することを重視しているが、上級職も流動性が大きいので、計画的に採用を行っている。人材の育成においても、ICT領域のスキルフレームワークであるSFIA(SkillsFramework for the InformationAge)を活用し、職員自らのスキルギャップの把握に役立てているほか、ボランティア活動も含めた様々な教育・訓練プログラムを提供している。

 

  1. 他機関との協働

HMRCは、英国全体の電子政府の推進に主体的に貢献する意欲を持っており、内閣官房のCIO協議会にも参画している。また、他省庁との協働にも積極的であり、HMRCが持つ納税者データを利用可能とするためのAPIを雇用年金省に提供するなどの取組みも始めている。さらに、データハブで集中化した情報は、SNSなどの外部データとも組合せて分析・利用できるようにするとともに、そのデータやツールを他省庁のアナリストにも開放していく構想である。【注5】

HMRCは、大臣の直接の指揮命令を受けない執行機関であるが、政治的なリーダーシップをまたず自発的に、独自の形でデジタル化に向けた推進体制を強化しようとしている。そしてその改革の方向性は、英国政府さらには欧州連合が向かおうとしているデジタル変革に向けた方向と軌を一にしているのである。

 

【注】

  1. 2013年当時の CIO Mark Halls氏インタビュー, CIOMagazineコラムなど。
  2. シャドーエコノミーに対する高度分析歳入システムの米国、英国の事例,弊誌2015年10月号
  3. https://www.gov.uk/government/people/mark-dearnley
  4. KPMG、グローバルCIO調査レポートのサマリーを発表, 2015, KPMG

 http://www.kpmg.com/jp/ja/knowledge/pages/cio-survey-2015.aspx

  1. Building our future: Transforming theway HMRC serves the UK, 2014,HMRC 

https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/450017/BoF_-_Transforming_the_way_HMRC_serves_the_UK_-_2015.pdf

 

 

 

二.     内国歳入関税庁(HMRC)での電子化の歩み

 

 1.英国歳入関税庁のCIO、業務のデジタル化と組織の変革に挑む

2013/07/29 Mark Chillingworth CIO UK 

 

出典:http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/IDG/20130726/494565/

 

 英国歳入関税庁(HMRC)では、2012年までCIOを務めていたPhil Pavitt氏に代わり、ITディレクターと副CIOを務めていたMark Hall氏が新たなCIOに就任した。同庁のITチーム向けのアジャイルミーティング室で、公共部門のPR担当者2人を携えてインタビューに応じてくれたHall氏から、同氏が先頭に立って進めている変革や、今後のリーダーシップについて話を聞いた。

 

 「HMRCに入ってからの5年間は最高の研修期間になった」と同氏は話す。それまでは、独エネルギー会社E.ONのITサービス責任者や、英水道会社Severn Trent WaterのCTOを歴任してきた。気さくで人当たりのよい同氏だが、明晰な頭脳でその名を馳せる。

 「ここは素晴らしいトレーニングの場だ。私の現在の仕事は、前任のPavitt氏が残した実績が大きな土台となっている。Pavitt氏は顧客サービスの面で優れた手腕を発揮した」

 「だが新たに取り組むべき課題もある。Pavitt氏はIT業務の再整備に力を尽くした。現在私は、ビジネス戦略という面も大きく視野に入れている」とHall氏は言う。職務の範囲も広がっている。現在同氏は、HMRCの物理セキュリティとデジタルセキュリティについても全体を統轄している。

 Hall氏の上役は、HMRCのチーフエグゼクティブのLin Homer氏だ。Homer氏は、2012年1月にHMRCに加わったが、その前にトップを務めていた英国国境局での管理能力について、英下院の内務特別委員会で最近厳しい批判を受けている。

CIOのHall氏は、Homer氏との戦略や関係の中で、HMRCの業務のデジタル化に大きな重点を置いているという。英政府のCTOであるLiam Maxwell氏が掲げる戦略の中でも、HMRCは規範となるサービスの1つに挙げられている。

 CIO UKのインタビューの時点でHomer氏らは、Pavitt氏に代わって変革を統轄する人が新たに必要かどうかを検討していた。

 「現在のHMRCでは、変革の統制、投資、管理に関する仕組みがきちんと機能している」とHall氏は話す。

 「変革の統制能力や管理能力という面で、HMRCは次第に変革を受け入れられるようになってきた。非常に大きく進歩している」と同氏。組織の人間が変革を好まないという共通の問題については、「我々は現在、変革の人的な側面に重点を置いている。皆の関与を得られるかどうかは引き続き課題だからだ」と述べている。

 Hall氏がHMRCに加わった2007年8月以降、組織の文化で見られた変化について同氏はこう話す。「現在HMRCのオフィスはすべてキャンパス型となり、対話集会も開いていて、変革の物語は非常に強く伝わっている。IT部門の変革は特に大きいと感じる。成熟度が高まり、業務部門とIT部門の変革につながりが生まれ、あらゆる対話を始められる態勢が整った。対等なパートナーだという感覚が強まっている」

 HMRCは「人間、数字、データが主役だ」と評するHall氏は、業務のデジタル化について、従来の紙ベースの処理から脱却し、デジタルとデータを中心とする戦略を貫き通す決意を固めている。

 「既に200以上のサービスをオンライン化した。これをさらに進めていく。源泉課税、明細書類、申告納税など、各種サービスをデジタル化するプロジェクトが目白押しだ。我々は、ITを活用し利用者への対応をデジタル化することで得られるメリットに主眼を置いている。これは業務側の要望にも合う」

 英国政府で組織の壁を超えたデジタル化が推進されていることについては、「新たなアプローチで対応し、サービスを俊敏に提供できるようにしたいと考えている。GDS(Government Digital Service、英内閣府のデジタルサービス推進組織)とも協力している」と話す。

 こうした取り組みは、HMRCで同氏が活用できる予算にも波及効果をもたらしている。英保守党政権が財政赤字削減と政府の経費削減に力を入れると主張する中、HMRCは2012年12月、脱税対策のための費用として7700万ポンドの予算を獲得した。

 予算獲得の背景には、2010年にHMRCが導入した「Connect」というシステムがある。ソーシャルネットワークなどから英国の納税者に関するデータをチェックし、詐欺や脱税を見つけるというものだ。このシステムは英BAE Systems(注:参考1)の技術を利用している。英Financial Timesによると、システムの導入には4500万ポンドかかったが、14億ポンドの税収増につながったという。

 Hall氏は、政府の歳入増に確実につながるテクノロジーをさらに取り入れたいと思っている。具体的には、財務処理の中心部分にテクノロジーを導入して、取引のさなかに詐欺的行為を検知できるようにすることを考えている。

 だが、同氏の戦略は、税を逃れる不心得者を見つけ出すことだけが目的ではない。データは善良な納税者に恩恵をもたらすためのものでもあると同氏は考える。したがって、HMRCが導入するテクノロジーは、CRM(顧客関係管理)や行動分析に基づく取り組みを支え、顧客(つまり納税者)に対する理解を深めたり対応を強化したりするものでなくてはならないと同氏は言う。

英国政府のクラウド構想である「G-cloud」に基づくテクノロジーの本格導入に関して、HMRCは政府機関の中でも特に早かった。2012年9月には、クラウド事業者である英Skyscapeのサービスを利用して、Public Sector Network(公共機関向けの共通ネットワーク基盤)上でデータストレージネットワークを一元化することを発表。ファイルストレージをHMRCのオフィスからクラウドに移し、一元的なホストサービスとして利用することで、大幅なコスト削減が可能になるとHall氏は言う。

 また、全国のHMRCのオフィスにあるOfficeサーバーも順次Skyscapeに移行し、オフィスからサーバーをなくして、一元的なホスティングに切り替えて運用しているという。

 Hall氏は、HMRCでのコンシューマライゼーション(コンシューマライゼーションとは、企業の情報システムで一般消費者向けのIT製品やサービスを利用すること。 また、IT関連製品や技術の進歩・革新を一般消費者向け分野が主導し、企業向けIT分野がそれを後追いして取り込むようになる傾向のこと)導入にも積極的だ。既にiPadの試験利用を始めている。

 「多くのユーザーがコンシューマー向けデバイスに移行している」と話す同氏は、米Appleと米Microsoftのどちらのデバイスも受け入れる。

 「今後数カ月で試験運用を進め、最終的には、さまざまなデバイスでHMRCの新たな業務スタイルに対応できるようにする。モバイル業務やペーパーレス会議を導入できる部分についても検討を進めている。この結果、従来型やハイブリッド型のノートパソコンからタブレットに至るまで、デバイスの幅が広がる可能性もある。政府の方針に従って、一般向けのさまざまなデバイスやOSを調査している。可能な限り、オープンな標準と相互運用性を取り入れるつもりだ」

 Hall氏もPavitt氏も、CIOの戦略の核として、テクノロジーとアプリケーションの合理化に力を入れてきた。2011年には「Enterprise Tax Management Platform」を導入した。SAPベースのシンプルなプラットフォームで、不動産取得印紙税などを扱うものだ。こうした合理化戦略は現在も続き、HMRCは税金管理を統合プラットフォームに移行する取り組みを進めている。

 

 「再利用や統合コスト削減の面でメリットが得られるようになってきた。またシャドーIT(ITサービス等の無断利用)も減った。必要な機能をIT部門がきちんと構築するからだ。サービスの提供や業務理解についても、IT部門は高く評価してもらえるようになった。迅速なサービス提供は常に難題だが、コラボレーションやSAPに関して、IT部門の高い技能は信頼を獲得しつつある」

 さらに、統制の枠組みの範囲内で前向きなITシャドーを推進する戦略も取り入れているという。「Business Development Appsというものを使って、職員がスプレッドシートのマクロを独自に開発できるようにした。実際、開発を積極的に奨励している」と同氏は言う。

 だが、時代に合わせた変革が必要な部分がHMRCにはまだまだあるとHall氏は話す。

 「現代にふさわしいデバイス環境とデスクトップ環境について検討している。Microsoft Enterprise Agreementを更新すると、従来の環境をそのまま引きずることになり、そこからは抜け出す必要がある。職員に合ったITを実現し、統合の取り組みを続けていくことが軸となる」

 「レガシーを断ち切り、基盤にあるインフラを引退させる必要がある。すべては、Aspireが終了を迎える2017年に向けて進みながら、ポートフォリオ管理をどうするかという点と関係している」と同氏は話す。Aspireとは、仏Capgeminiを中心に、英BTと富士通も交じえて結んだ、HMRCの大規模なアウトソーシング契約だ。2004年に契約を結んだ当時は、英国で最大規模のアウトソーシング契約だった。だが、この契約によってHMRCからスキルやイノベーションが失われたという批判や、テクノロジーの統合とデリバリーがうまくいっていないという指摘もある。

「我々は、IT調達戦略の輪郭を定め、昨年Capgeminiとの契約に加えた変更に沿って動いている。その変更により、同社は独占的なメインサプライヤーではなくなった。我々は2017年まで待つのではなく、少しずつ前進を始めている」

 Hall氏はService Integration and Management(SIAM)のモデルに従って複数の契約やサービスモデルを利用する意向を持つ。また同氏は、前のCIOの下にいた数年間、HMRC内部のスキルを充実させることを一貫して主張し、そのための取り組みを続けてきた。この結果、HMRCは自前での統合を進めやすくなった。

 「今やHMRCの中に強力なIT部門がある。それを基盤として、手持ちのリソースをいかに増やしていけるかだ。だが、官民混合のような状態が予想され、当面はバランスの再調整が第一だ。Capgeminiには確かにイノベーションがあった。今は我々が組織内部にイノベーションを取り戻した」。

 そうした強固なIT部門の下、これまでより多種多様なサプライヤーがHMRCと関係を結ぶようになることをHall氏は願う。特に、英国の中堅中小企業だ。それによってHMRCの機動性とイノベーションが高まることを望んでいる。

 HMRCがスケジュールに合わせ段階を踏んで変革を進めていく様子は、さながら税務申告の準備手順を見るようでもある。だが、Hall氏をはじめとする政府機関のCIOをこれから待ち受ける課題として、新たな社会保障給付制度であるユニバーサルクレジットの導入がある。この制度に関しては、プロジェクトオーナーが多いとして既に批判が集まっている。ユニバーサルクレジットがうまくいくかどうかは、HMRCと英雇用年金省(DWP)の密接なコラボレーションにかかっている。行政機関が納税者にもたらす価値を高める制度だと政府が主張する中、業界はこの制度の立ち上がりをこれまで以上に注視している。

 

  2.内国歳入関税庁(HMRC)における大機構改革と税のデジタル化計画

出典:

https://www.gov.uk/government/news/hmrc-announces-next-step-in-its-ten-year-modernisation-programme-to-become-a-tax-authority-fit-for-the-future

 

(1)内国委歳入関税(HMRC)は、将来の税務当局に適合するための、10年の近代化計画の次のステップを発表

最初に公開:2015年11月12日

より少ない、より近代的な地域センターと非常に熟練したスタッフがより良いサービスを顧客に提供します

 HMRCは、英国のすべての国と地域にサービスを提供し、高品質の仕事と、今後5年間で新たに13の地域センターの創出を約束する、将来にふさわしい税務当局を作成するための10年間の近代化プログラムの次のステップを発表しました。

近代化プログラムは、今中間点ですが、改善することを含め、彼らの税を支払うために、正直な大多数のお客様には、納税者サービスの改善を含む、彼らの納税を容易にし、不正直な納税者には、その不履行を困難にするために、新しいオンラインサービス、データ分析、新たなコンプライアンス技術、新しいスキルや作業の新しい方法への投資を含んでいます。 変更は、すでに彼らの80%以上が自主申告書をオンラインで提出する結果となり、お客様には、彼らの支払いを確認し、変更し、質問に対する答えを発見するための新しい、簡単な方法をもたらしました。

昨年公共サービスのために、記録的な£5,170億(73兆4,000億円)を調達した税務当局は、2016/17年度に最初の新しい地域センターを、それに続く3つのセンターを2017年~2021年の間にオープンします。

HMRCの58,000人のフルタイム換算の職員は現在、全国に170の事務所に分散しており、その多くは約6000人から10人未満の職員規模の範囲で1960年代と1970年代の遺産であります。HMRCは、その職員を13の大規模な、より高度に熟練した労働力を構築するために必要なデジタルインフラやトレーニング設備を完備した近代的な地域センターにまとめ、不正直な納税者からより多くの歳入を確保するとともに、正直な大多数の納税者への顧客サービスの向上の課題を満たすこととしています。

その変更は、全国的に仕事を配分するとの政府の約束をサポートしています。 大きなセンターに職員を集中することは、職員に、国内での移動の必要性を少なくし、上級レベルへのキャリアアップの促進を可能にし、専門家チームの成長と、大学や熟練した人材の採用のソースとのリンクの拡大をサポートします。

リン・ホーマー、HMRCの最高経営責任者(CEO)は、言いました:

HMRCは、一方で仕事が英国全体に広がり、首都に集中しないことを確保しながら、熟練した多様な雇用と能力開発の機会を持つ全ての英国の各地域や国でのサービスを提供する近代的な、地域センターに取り組んでいます。

HMRCはあまりにも多くの高くつく、孤立した、時代遅れのオフィスがありすぎます。 これは、私たちが仕事のやり方で、協力し近代化し、お客様に当庁のサービスを変換し、脱税しようとする少数派をこれまで以上に取り締まるために必要な変化を行うのを困難にしています。

 

新しい地域センターは、低賃料の地域のより近代的でコスト効率の高い建物の中に、私たちのスタッフを配属するでしょう。 彼らはまた、それらが担当する都市への大きな貢献をして、高品質、熟練した仕事を提供し、 英国のすべての地域に利益をもたらす国家復活への政府の取り組みを支援します。

 

変更は、すべての部門でのより少ないコストでより多くのサービスに向かっての政府の挑戦を満たしながら、HMRCが、低コストでモダンなサービスの提供を期待する顧客の要望にこたえることが可能になります 。

HMRCは、スタッフの大半は地域センターに、現在のオフィスから移動することができることを期待し、冗長性を最小限にするために、10年間の間に移動を段階的に実行しているのです。 しかし、HMRCは、コストを削減するためにどのように働かせ、現代の技術を最大限に活用するその合理化で、将来的により少ない職員を持つことを目指しています。

編集者への注記

①.       HMRCを変更するための高レベルの計画は最初の18ヶ月前にそのスタッフと共有しました。 それ以来、HMRCは、英国全体で約2,000のイベントを開催し、その職員に対し、その変更の方法、と議論への彼らの関与する方法について、議論しています。

②.本日発表された計画は、 歳入関税庁は 2025年までに1億ポンドの不動産を節約し、より良い職場を作ることができることを意味します。

③.       世界で最も高価なオフィススペースのいくつかを持ってロンドン中心部のうち歳入関税庁の仕事の多くを移動することは、HMRCにかなりの節約を可能にします。

④.       地域センターは、それらが抱えている仕事の規模や、仕事のやり方、税の専門家と企業のサービスの組み合わせで異なります。 最小のものは1200〜1300人のフルタイムスタッフと同等のメンバーを持ち、最大のセンターは、業務に焦点を当てたセンターが6,000人以上を保持します。

⑤.       HMRCは、HMRCはそのITサプライヤーや他の政府機関や部署と連携する必要があり、特にここで、他の場所で行うことができない仕事のための4つの専門サイトを持つことになります。 これらは、テルフォード、ワーシング、ドーバーとGartcoshのスコットランド犯罪キャンパスになります。

⓺.       13の新しい地域センターは、以下の地域に設けられます:ノース・イースト(ニューカッスル)。 ノース・ウェスト(マンチェスターとリバプール)。 ヨークシャー・ハンバー(リーズ)。 イーストミッドランド(ノッティンガム) ウェスト・ミッドランズ(バーミンガム)。 ウェールズ(カーディフ) 北アイルランド(ベルファスト)。 スコットランド(グラスゴー、エジンバラ) 南西(ブリストル) イギリスのロンドン、南、東、東(ストラトフォードとクロイドン)。地主や請負業者と交渉する必要があるので、私たちは現在、正確な位置についてより多くを語ることはできませんが、場所は、命名した都市の交通の便が良い所になります。

⑦.       最終的には、これらの変更は、2027年までには、137事務所の閉鎖を伴うでしょう。例えば、リースブレークが発生するか、2021年におけるMapeleyとのPFI契約の終了時にオフィスはリリースされるでしょう。HMRCは、2015年11月12日にそのスタッフと異動の大筋を共有しました- 潜在的なオフィスの閉鎖の日付と各事業所で働く可能性のある個人のための結果を含みます。

⑧.       HMRCは、この異動を実施するための最良の方法について、スタッフや他の関係グループと協議します。 スタッフが、提案されているセンターや、既存の地域センター内または近郊に本拠を置いていない場合、これらはオプションの範囲が与えられますし、HMRCとの将来を考え、議論する時間を持つことになります。

⑨.       多くの近代的なコンプライアンス業務はすべての場所から行うことができますが、 歳入関税庁の調査官と出先の担当者は、我々が対面にまたは人の構内での接触をする必要がある場合に、国全体をカバーすることができるモバイルワーカーはそのままです。 また、脆弱な個人または追加のニーズを持つ人のためのモバイル顧客サービスも継続されます。

                                以上

 

 

(2) 税務行政のデジタル化の概要

出典:

https://translate.google.co.jp/translate?hl=ja&sl=en&u=https://www.gov.uk/government/publications/making-tax-digital/overview-of-making-tax-digital&prev=search

 ポリシーペーパー

 2017 年 1月31日に更新

 

1.デジタル税の導入の概要

税をデジタル化することは、個人や企業に税金を納得させ、業務を継続しやすくする政府の計画の重要な部分です。つまり、何百万人もの確定申告の終わりを意味します。

政府は2015年3月予算で税制を近代化するビジョンを発表しました。税デジタル化のロードマップは、2020年までに将来の税制の大胆なビジョンがどのように達成されるかを示しています。すべての個人および企業は現在、独自の個人向けデジタル税務アカウントにアクセスでき、これらは定期的に拡張され、改善されています。

 

2.税金をデジタル化する4つの基礎

(1). より良い情報の利用

 Tax Digitalは、お客様にとって大きなメリットをもたらします。 それは、お客様は、HMRCが既に持っているか、または、雇用者、銀行、住宅金融組合、その他の政府機関など、他の場所から得ることができる情報を、HMRCに提供しなくてもよいことを意味します。

どのデジタル税金勘定も、お客様は、HMRCが保持している情報を見ることができ、そして、いつでも詳細が完全かつ正確であることを確認できることを意味します。  HMRCは、お客様の個々の状況に応じて、この情報を使用して提供するサービスを調整します。

 (2). リアルタイムでの税金

我々の顧客は、どれくらいの税金を支払うべきかを知るために、年末まで待つ必要はありません。  HMRCは、税金に影響を与える情報を可能な限りリアルタイムで収集して処理し、間違いを防止し、税金の債務や還付が蓄積するのを止めるのを助けます。

 (3). 単一の金融口座

現時点では、ほとんどの納税者は、1つの場所で負債と資格の1つの画像を見ることはできません―それを私たちは変えようとしています。  2020年までに、お客様は、オンラインバンキングで出来るのと全く同様に、デジタルアカウントで包括的な財務状況を見ることができます。

 (4). 顧客とデジタルで対話する

我々の顧客(およびその代理人)は、HMRCとデジタル的に対話することができ、それらに適応することができます。 彼らはすでにデジタルアカウントにアクセスしており、そこでは、ウェブチャットやセキュリティで保護されたメッセージによるプロンプト、アドバイス、サポートとともに、ますますパーソナライズされた税務情報を提供します。 また、デジタル記録保存ソフトウェアはHMRCシステムに直接リンクされ、お客様はソフトウェアから直接情報を送受信できます。

 

3.個人向け税金をデジタル化する

個人税のアカウント(Personal Tax Account)は、個々の顧客の情報を1つのオンライン場所にまとめます。 これにより、顧客は、選択したデジタルデバイスから、それに合ったときにサービスにアクセスすることができます。 これにより、新しいサービスに登録し、情報を更新し、支払う必要のある税金を確認することができます。

現時点では、 HMRCがさまざまな情報源から受け取った情報は、独立したスタンドアロンシステムで保持されているため、顧客はHMRCが既に保有している情報をセルフアセスメントの税申告書で報告するよう求められる可能性があります。  HMRCはこれらの内部システムに加わっており、顧客の状況や所得に関する情報をデジタルアカウントに自動的に組み込みます。つまり、顧客は自分で行う必要はありません。

自主申告の下で、1000万人以上の顧客がHMRCに状況と収入について話すために税申告書を記入します。 これは顧客の負担であり、 HMRCにとっても非効率的です。間違いが起きたり、情報が間違ったり、遅すぎると、適切な税金が適切なタイミングで回収されず、 HMRCが行動を起こさなければなりません。 これにより、回避された可能性のある顧客に対する罰金および利息が発生する可能性があります。

 第三者情報(顧客またはその代理人以外の者によってHMRCに提供される情報)をより効果的に使用することにより、顧客の報告負担が軽減され、誤謬が削減され、適切な税金を宣言することが容易になります。パーソナル・タックス・アカウントが発展するにつれて、顧客はそれを使用して、物事が変わったときに教えてくれます。 時間の経過とともに、顧客は年末に税務申告を完了する必要がなくなります。

 HMRCがすでに保有している情報を使用することから始まり、顧客と接続して税務上のアカウントに表示することにより、これをより有効に活用します。

 

4.ビジネスのために税金をデジタル化する

企業の大部分、自営業者および地主は、最初に税金を納得したいと考えていますが、最新の税額控除の数字は、あまりにも多くの企業が過ちを犯す傾向があることを示しています。 回避可能な納税者の間違いや不注意によって回収されなかった税額は、年間80億ポンド以上に上った。  HMRCは、公的資金を必要とするだけでなく、コスト、不確実性、心配なども引き起こします。

 HMRCは、企業が初めて税金を享受し、正直な間違いをして処罰を受けないようにしたいと考えています。 つまり、エラーの可能性を減らし、歓迎されないコンプライアンスチェックの機会を減らし、企業が正しいことを確実にしていることをより確実にすることを意味します。 ビジネスのために税金をつけることは、この方向で重要なステップです。 大多数の企業、自営業者、および地主のためのデジタル記録保持と四半期更新の導入は、間違いを減らし、デジタル・ナッジと企業が間違いを解消する手助けを促すための基盤を構築します。 また、企業は年内に税務ポジションをより明確に把握することができます。 これにより、中小企業は最小限のコストと最小の混乱で税金義務を果たすことができます。

企業向け税務デジタルは、企業や個人が現在他のサービスプロバイダーから期待しているもの、すなわち現代のデジタルエクスペリエンスに沿った税制を実現します。 新しい技術は、人々や企業が店舗、銀行、旅行、通信、および取引を行う方法を絶えず変えています。 デジタルサービスに対する欲求は強く、主に紙ベースの税制に頼ることは21世紀には意味をなさない。 しかし、デジタル化できない人にはそうするように強制するという問題はありません。  HMRCは、本当に必要な人のための選択肢があることを保証し、デジタルサポートが必要な企業には引き続き役立つでしょう。

これらの変更は、所得税(2018)からVAT(2019)、その後法人税(2020)に移行するまで徐々に導入されます。 私たちは、4月からこれらの変更を徹底的に計画し、緩やかに開始し、数十万に増やしてから、それらを展開します。 これにより、ソフトウェアがユーザーフレンドリーであり、個人とビジネスに準備と適応の時間が与えられます。 簡単な税務を持つ企業には、フリーソフトウェアも提供される予定です。

 

5.私たちの協議

 2016年8月15日、6つの税務デジタル・コンサルテーション(協議)を発行しました。 彼らは、次の分野の主要な設計および開発に関する質問のいくつかについて考えました。

  • 税金をデジタル化する:デジタル時代に事業税を導入する
  • Business Income Tax: Simplifying tax for unincorporated businesses 事業所得税:非法人事業税の簡素化
  • Business Income Tax: Cash Basis for unincorporated property businesses 事業所得税:非法人向け事業の現金基金
  • Making Tax Digital: Tax administration 税金を作るデジタル:税務管理
  • Making Tax Digital: Voluntary pay as you go 税金をデジタル化する:自主的に支払う
  • Making Tax Digital: Transforming the tax system through the better use of information 税金をデジタル化する:情報のよりよい活用による税制の転換

フィードバックの要約、政府の決定、次のステップは、これらの6つの対応文書に掲載されています。我々はまた、各協議からの主要な結論を引き出す応答の簡単な概要(参考1)を発表しました。

 HMRCは、6回の協議に対して1,100件以上の書面回答を受け取り、1,200人以上の人々が、協議の短いガイドでオンライン調査に回答しました。

 

6.次のステップ

政府は、デジタルレコードの保管と四半期ごとの更新から1年£10,000未満のすべての人員を免除することにより、変更の範囲から最小規模の企業、自営業者および地主を取り除くことをすでに約束しています(ただし、 )。 これは、二次所得が10,000ポンド以下の者の免除により、すでに適用範囲から除外された者に加えて行われました。

 協議では、具体的には、範囲内にある自営業者、地主および企業の初期免除と延期の適切な水準を調査しました。 回答者から相談までのこの問題についての意見の範囲が与えられれば、政府は財政への影響と併せてこれらの問題を検討するためにより多くの時間を要するでしょう。

 今年後半に法案が成立する前に、最終決定が下される予定です。 それにもかかわらず、政府はデジタルは真に選択肢ではないと認識しており、その場合は代替案が提供されます。

 HMRCは、タックス・デジタル・コンサルティングの後、ステークホルダーとの関わりを深め、改革をさらに進めていきます。

 

7.研究と事例研究

 HMRCは、ビジネスのための税金のデジタル化のための独立した研究を発表し、税金のデジタル化の全体をどのように実践するかを説明する多数のケーススタディを行いました。

 

 

三. 第三者の見方

以上、内国歳入関税庁における、同時並行的に進められてきているデジタル化と機構改革の断片的な歩みを概観してきましたが、両者は相互に大きく関連していることは確かです。その共通の狙いとするところは、最小のコスト(人件費、物件費等の削減)で最大の効果(納税者サービスとコンプライアンスの向上)を挙げること、すなわち効率性,実効性の向上と言えます。

 

1.英国会計検査院の講評等

https://www.nao.org.uk/report/hmrc-estate/

HMRC不動産の管理

2017年1月10日

 オフィスの数を減らし、地域センターモデルに移行することにより、HM収益および税関(HMRC)は、ランニングコストを大幅に削減し、その運用方法を近代化することを望んでいます。 しかし、今日発表された報告書では、NAOはHMRCが独自の計画が非現実的であると認識し、プログラムの範囲と時期を調整して費用と配送リスクをどのように削減できるかを検討していると述べた。 戦略の長期的価値を減少させないために、変更を慎重に管理する必要があります。

 HMRCは、2020年から21年までに不動産を再設計し大幅に削減する大きな変革プログラムを実施しています。 広範囲に分散している170のオフィスの不動産から、ロンドンの中心部に4つの専門サイトと本部を加えた13の地域センターに移動しています。 このプログラムは、政府の共通ハブに移行するための広範な公務員義務の一部です。

 HMRCは、地域センターへの移転が、それが主にデジタルサービスに作用する方法を近代化し、変革する柔軟性を提供すると考えている。 それは必要以上のスペースがあり、その多くは状態が悪いため、士気と生産性が低下すると考えられます。 したがって、HMRCの地域センター計画は、税収を増やし、顧客に提供するサービスを変革するという戦略的目標に不可欠です。

この報告書は、HMRCが2011年以降、不動産の規模を4分の1以上縮小したことにより、年間運用コストが102百万ポンド(30%)減少したことが分かりました。 しかし、それが可能な変更の規模は、2021年に失効し、HMRCの不動産の約3分の2をカバーするMapeley STEPS Contractor Ltdとの長期契約の条件によって制限されていました。  HMRCは地域センター移転のビジネスケースでは、既存の建物のほとんどを残しているため、今後8年間は引き続き貯蓄を行うと見積もっています。

 HMRCの地域センターは、2021年3月にSTEPS契約が締結される前に設立されている必要があります。これを超えてSTEPSの物件に滞在すると、賃貸料やサービス費用が増加することが予想されます。 その目的は、これが起こる前に地域センターを占有することであり、既存の建物を残すための時間枠についてMapeleyと交渉するためには、その場所の選択について早期に決定しようとしました。 地域センターを迅速に占有するというHMRCの目的は、コストと品質に対するタイムリーな占有を達成する必要性をバランスさせなければならないことを意味します。

これまでのNAOおよびPACの勧告に対応して、HMRCはMapeleyとの業務提携および契約管理を改善し、2011年以降1億8,900万ポンドの累積的な貯蓄を達成しました。契約に基づいて管理されている160の建物を閉鎖し、 54百万ポンド。  HMRCは、2014-15年のマープレーのパフォーマンスがHMRCが設定した品質基準を下回っていると評価しました。  2014-15年、HMRCの施設管理のためのMapeleyへの支払いは、HMRCが契約のこの部分について毎年支払う額の2%に相当するこの不履行を補うために£700,000削減されました。

地域センターへの移行中、HMRCは、納税者に対する奉仕や税収の徴収能力を損なわないことを認識しています。  HMRCは、元の計画が非現実的であり、余りにも多くのスタッフをあまりにも迅速に移動または置き換え、同時に14の他の主要な変更プログラムを並行して提供するため、業務を中断するリスクが高すぎると結論付けました。  2015年の支出見直し決済のビジネスケースを提出して以来、HMRCの今後10年間の不動産コストの見積もりは、約6億ポンド(22%)増加し、その半分以上が予想されるランニングコスト新しい建物。

 HMRCは現在、地域センターへの移転の範囲と時期を再検討しており、今後4年間のコストと中断のリスクを削減しています。 その選択肢には、地域センターを開設するための時間割を変更すること、 一部の地域センターの機能、場所、規模を再検討する。 フレキシブルな作業方法をいつ、どのように導入するかを再評価します。  HMRCは、長期的に不動産を実行するコストの持続可能な節約を達成しながら、従業員のエンゲージメント、士気、生産性を向上させるために、そのような変更が目的を損なうリスクを管理しなければなりません。

地域センターへの動きの一部は、HMRCが計画した時期より遅れて発生するため、新しい不動産からの貯蓄が実現するまでには時間がかかりますが、HMRCは引き続き長期的な価値の向上を期待しています。  2025年から26年までの累積効率の削減額は、2015年11月のビジネスケースから499百万ポンド減少し、212百万ポンドと見積もっています。  HMRCは、2025年から26年までに、年間の不動産ランニングコストが現在の8,300万ポンドより低いと予想しています。

 HMRCは、地域センターがより良い顧客サービスとより効率的かつ効果的なコンプライアンス活動をどのようにサポートするかについて、まだ完全に定義していません。  HMRCはクロイドンの最初の地域センターの契約を締結したが、2017年に計画しているように、サイトを占有するための厳しいスケジュールに直面している。

 NAOは、HMRCが将来のビジネスモデルを変更する柔軟性を制限する長期的な財産取引に固執するリスクを管理しなければならないと考えている。  NAOは、HMRCが2004年に内陸歳入とHM税関および消費税の合併以来3回目の主要な変更プログラムを実施していると述べている。クロイドンとブリストルでこれまでに締結した25年間のリースでは、  HMRCは、不動産全体にわたるリース期間の混在を通じて柔軟性を提供し、他の部門に引き継ぐ能力を維持し、政府の財産部門と協力して、政府間ハブの設計における将来の柔軟性を提供することを目指しています。

 NAOの勧告の中で、HMRCは、新しい地域センターのコスト管理を改善し、実際にこれらのセンターが従業員のコンプライアンス作業の効率性と有効性を高めながらより良いサービスを顧客に提供する方法を実証する必要があります。

 HMRCは現在の契約内容をMapeleyと改善し、より良い結果を達成しましたが、重大なリスクは残っています。  今後、HMRCは地域センターの計画が非現実的であることを認識し、プログラムの範囲と時期を再検討しています。  これは、この戦略が幅広いビジネス変革を最も支えているかどうかを検討し、長期的に達成するために設定した持続可能なコスト削減を実現するかどうかを検討する必要があります。

 Amyas Morse、2017年1月10日国立監査局長

 

編集者のためのメモ

 £269m  2015-16年におけるHMRC不動産の総ランニングコスト

 30%  2010年から11年までのHMRCの年間不動産ランニングコストの削減

 £83m  HMRCの不動産の年間稼働費用の現在の不動産と比較して、2025年までに予想減額(31%)

 32億ポンド  HMRCの今後10年間の不動産コストの最新推定

 £588m 新規不動産におけるHMRCの予測投資コスト

 137  2021年までに閉鎖予定のHMRC事務所

 38,000 従業員はオフィスを地域センターに移転するか、HMRCを離れる必要があります

 27%  2010-11年以降のHMRCの不動産の規模縮小

 £354m  2010-11年から2015-16年の間にその不動産で達成された総貯蓄額

 15㎡  HMRCの新しい不動産戦略の戦略的概要のケースで概説されているように、2015年3月のHMRCの不動産の1人あたりの平均スペース

 8㎡  2018年3月までに政府の不動産の1人あたりの平均オフィススペースの目標

 

2.影の大蔵省の委託を受けた学者グループのHMRCについての勧告

  出典:https://www.scribd.com/document/323334007/Reforming-HMRC-Making-it-Fit-for-the-Twenty-First-Century

 

HMRCを改革する:21世紀に相応しいものとするために

ファーストステージレポート

 

 プレシックカ 、 ミシェルクリステンセン ジョンクリステンセン クリスティンクーパー T om H  Deborah Hargreaves Colin Haslam、 Paddy Ireland グレン・モーガン Martin Parker ゴードン・ピアソン Sol Picciotto Jeroen  エドマン ・ヒュー・ ウィルモット

 このレビューは、影の大蔵省(シャドウ・チャンセラー)の委託を受けた  ジョン・マクドネル(John McDonnell)国家安全保障理事会(ED)、そして プレク・シッカ(Prem Sikka)教授 などが 独自に行った。  この文書形式の内容  労働者の政策決定プロセスへの提出。  彼ら  労働党の政策を構成するものではなく、また、  労働党の支持を表わす結論と勧告を含んでいるものでもありません 。

エグゼクティブサマリー

 歳入関税(HMRC)は、税金を徴収し、税法を施行し、納税者にサービスを提供する という重要な仕事 をしています。  資源の 削減を背景に、納税者への サービスの期待に応え、組織的な租税回避に挑戦することはかなり困難でした。  この 方針書は、困難性を調査し、 HMRCと公的説明責任を強化するための勧告を行う。  改革には、以下が含まれます。

 

  1. ステークホルダーからなる監督委員会を組織し、HMRC理事会を監査し、その方向性を示し、公的機関の能力を高めるために監視する。 理事会 は、企業の捕獲と慣性に対する防波堤として機能し、 議会の委員会に対して説明責任を負うものとする。
  2. 管理委員会は、税の不正を通報する者を支持し保護しなければならない。
  3. HMRC予算及び定員への追加投資。
  4. HMRCは地域の知識を必要とし、市民の懸念に応えなければならない。これは 、地方の事務所と地元のスタッフと知識のネットワークによって最も達成されます。
  5. HMRCは、良好な人材を有する国内の調査と査察の部門を持つべきである。これにより、社内の組織的な知識ベースを強化します。
  6. HMRCは、  そのスタッフに対する財政的な業績主義の給与を提供すべし。

  7. より強力な議会の監視。

  8. 税の申告書、関連するすべての大企業の会計資料は公に利用可能にする 必要があります。 法人税情報が 公表されること により、議会でのHMRCの目的の有効性を 綿密に調査するために、議会の委員会が利用できる情報の質が向上します。

  9. 議会の委員会は、如何に微妙なものであっても、いかなる税務情報も調べる権限が与えられるべきである 。 文書や実務の精査が 、非公開会合や閉会会議で行われるべきかどうかの決定は、関連する議会委員会にゆだねられるべき。

  1. 税務申告のバックログは不確実性と不安を引き起こす。これも納税者に不公平です。ケースを聞く司法上の能力が、拡張されるべきです。

   11.HMRCによって公表された様々な報告書には、透明性や説明責任を高める情報を含めるべきです。

  12.公的な圧力は、HMRCの転換での重要な構成要素である。

   13.HMRCはごまかしと戦う有効な道具を持つべきです。我々は、一般的な反乱用既定(GAAR)の改正を勧告する。HMRCは、企業のエリートではなく、法務省または退職の判事に指導を仰ぐべき。

 

3.電子政府の国連のランク付け

国連の電子政府ランキング2016年版が公表されました。

このランキングは国連に加盟する193か国を対象として隔年で実施されており、今回のランキングでは、日本は11位にランクされています。

これまで3回(2012、2012、2014年)連続で1位であった韓国が3位になる一方、前回8位であったイギリスが今回1位となっています。

なお、同時に実施された電子的参加に関するランキングでは、日本は2位となっています(1位はイギリス)。

 

 以上完全なフォローではありませんが、HMRCが全国的に影響のある、特に職員と納税者への大きな影響があり、大都市,地方全国に影響がある、会計事務所等の多くの利害関係者にも大きな影響があるこのような大規模な改革を、このような短期間に行おうとしていること自体が,驚愕ものですが、国連での電子政府のランク付けで、常にトップクラスに位置していること、ありそうになかったEU離脱に踏み切った英国だからこそとの感がしてなりません。まだ道半ばですが、その方向性が変わるとは思われません。是非とも成功して、省庁間のデータの活用、共有化等が促進され、行政の効率化、行政サービスの大幅な電子化の成功例を示してほしいものです。お金のやり取りをする税金、年金、給付金等での電子化のメリットは計り知れないものがありそうな気がしてなりません。

           続く・・・。

 

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