HMRC(英国歳入関税庁)による税金のデジタル化計画の軌道修正

 

HMRC(英国歳入関税庁)による税金のデジタル化計画の軌道修正

 

税金のデジタル化(MTD)は、長い間業界の話題となっています。制度がどのように機能し、関係者に影響を与えるかについての問題が、制度の発表以来、議論の対象となっていまました。HMRCは、納税者の団体、及びソフトウエア関係業界等との協議を行ってきました。その結果、本年3月には、上院の2017年度の財政法小委員会が、報告書(参考その1)を発表し、首相と財務大臣に税のデジタル化の計画の実行を遅らせるよう勧告していました。それを受けて、HMRC(内国歳入関税庁)は、「税のデジタル化計画」を遅らせますとの同計画の開始について大幅な変更を、7月に発表しました(参考その2)。

 

その骨子は、議会の小委員会の指摘に沿ったものとなっていいます。

  1. 税のデジタル化は、税の適正申告を確保するもので、多額の課税漏れ(タックスギャップ)をなくすことができるとの歳入庁の主張が、その証拠が乏しいこと。また、この制度が事業者の初期の費用額が、わずかに280ポンドであるとの説明も、現実とかけ離れて少ないこと。
  2. 税のデジタル化には、納税者はもとより、会計士業界や、ソフトウエア業界の、準備等にかなりの期間を必要とし、2018年4月からのススタートを予定した当初のタイムスケデュールがあまりにも短すぎること。そのため、制度の定着を確認するためのパイロット(試行・確認・フィードバック等)の手続きの余裕がないこと。
  3. 売上額がVATの基準額を下回っている中小事業者や家主等の小規模事業者に、この制度を強制することは無理があり、選択制とすべきこと。 

等が、そのまま採用されているようです。 委員会は、税金のデジタル化が歓迎されようとしていることの認識には同意しつつも、計画の展開があまりにも急激で、中小企業に不必要な負担を課し、政府にほとんど利益をもたらさないと結論づけているのです。

 

 

参考その1;「事業者のために税金をデジタル化することにブレーキをかけることを、委員会に要請する」と題する報告書の、結論と勧告の要旨

 

1.2017年3月17日 財政法小委員会は本日、財務省草案「2017年:ビジネスのために税金をデジタル化する」に関する報告書を発表します。それは、政府がビジネスのための税のデジタル化を遅らせるべきだと結論づけている。

主な所見

小委員会は、中小企業と自営業者向けに税金をデジタル化する財務法案草案を詳細に検討した。これらの変更は、160万社、240万人の自営業者、90万人の住宅所有者に影響を与えます。

委員会は、税金のデジタル化が歓迎されるべきことには同意します。しかし、計画の展開を急いでおり、中小企業に不必要な負担を課し、政府にほとんど利益をもたらさないと委員会は結論づけています。

 

小委員会は、政策が成功裏に実施されることを確実にするために一連の変更を勧告する。

  • 税のデジタル化のメリットとコストの評価を改正し改善する。政府の「税のギャップ(徴収漏れ)」の見積もりは脆弱であり、適切な証拠に基づくものではない。この制度が最初に280ポンドを事業者に負担させるという主張は、当初経費の現実を反映していません。
  • 完全なパイロットを可能にするために2020年まで計画を遅らせる。この遅れにより、政府は、Tax Digital化が納税者の間違いを減らし、実際の事業者の経費を評価し、ビジネスユーザーから貴重なフィードバックを受け取るかどうかをテストすることができます。また、それはデジタルスキルが不足している人々のために意識を高め、支援システムを導入する時間を政府に与えます。
  • 売上高がVATの基準額を下回るビジネスでは、デジタル記録と四半期レポートをオプションで保持します。中小企業の場合、HMRCに四半期ごとに報告するという要件は、不必要な負担を課し、限られた使用になります。
  • どの事業が計画に含まれているかをもう一度見てください。政府は、季節性収入や不規則な収入のある種の企業が計画外にあるべきかどうかを検討すべきである。

議長のコメント

Hollick主席小委員会委員長は次のように述べています。

「多くの中小企業や家主は、デジタル課税によって課せられる追加的な行政的、財政的負担に単に気づいていないか、また対応する準備ができていません。

「私たちは、スキームは、2019年4月まで、付加価値税のしきい値を下回る売上高の企業には適用されないとの春の予算における政府の発表を歓迎します。 しかし、それが十分ではなく、パイロットからの証拠に基づいて、さらに制度の実施を遅らせて、より漸増的で漸進的なアプローチを採用する必要があります。

“このスキームは、ビジネスレー・レートと配当課税の変更と一致し、そのすべてが一部の中小企業に影響を与えます。

「完全なパイロットは、ソフトウェアの働きを保証し、ビジネス上の追加的な財政上および行政上の負担についての堅実な証拠を提供することになります。

「定期的なデジタル報告の中小企業にとってのメリットには疑問があります。売上高がVATの閾値を下回っている企業にとって、この制度はオプションのままにすることをお勧めします。

 

 

参考その2:出典:https://www.xero.com/blog/2017/07/hmrc-delays-mtd/

 

HMRC(内国歳入関税庁)は「税のデジタル化計画」を遅らせます

 2017年7月。投稿者:Gary Turner

 HMRCは、今夏、2018年4月から実行することになっていた税のデジタル化の計画の開始について大幅な変更を発表しました。

議会筋、企業、会計職およびソフトウェア企業(Xeroを含む)からの幅広い範囲と短か過ぎる時間枠についてのフィードバックと懸念の後、スコープとスケジュールは次のように後戻りされました。

  • VATの基準額を超える売上高を持つビジネスのみがデジタル記録を、VATの目的でのみ保持する必要があります。彼らは2019年からそうする必要があります。
  • 企業は、その他の税では、最初に提案された2018年ではなく、少なくとも2020年まで、デジタル記録の保持又は、HMRCに四半期毎に更新するよう求められません。
  • 中小企業は、その他の税金のために任意ベースでデジタルで申告することができます。

 

デジタル主唱者として、我々はデジタル税制に関するHMRCのビジョンを支持しています。少なくとも、8億ポンドの税のギャップの理由を、政府が指摘する中小企業によるお粗末な記帳のせいにはしていません。

企業や会計事務所業界は、新しい適正な記帳法に適応するための十分な時間が与えられていることが重要です。可能であれば、新しいルールは、HMRC自身の課題を満足させるだけでなく、中小企業や会計士の生産性を向上させなければなりません。

 

英国は依然としてG8諸国の生産性の順位で最低であり;それは次の10年に重要な新しい雇用を創出すると同時に、よりスマートで生産的な英国の中小企業が経済の将来を確保する上で重要な役割を果たすことになります。だからこそ、中小企業や会計士のための新しいデジタルプロセスを構築し、定着させるこの時間的な余裕が歓迎され、提起された多くの懸念にHMRCが応えてくれたことを嬉しく思います。

 

税のデジタル化のための準備は今秋、Xerocon London 2017にとって重要なテーマとなります。我々は、Xeroの戦略と、我々が取り組んでいる多くの革新的な製品でお手伝いすることを楽しみにしています。

                                 以上で参考終了。

 

参考2のソフトウェア企業が言っているように、この壮大な企画は、単に課税当局の為だけではなく、納税者や、関係業界の事業活動の効率化等の推進にも資するものとなることが期待できること、ひいてはそれが、税務行政の効率化および適正課税につながることが期待されるので、引き続きこのプロジェクトからは目が離せません。

 

 

 

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