チューリヒ州のライナウ村で、スイス初のベーシックインカムの試験的導入へ大詰め

はじめに;

2年越しのスイスでの初のベーシックインカムの試験的導入の準備が整いつつあるようなので、紹介します。

 ご承知のように,スイスでは2年前の国民投票で、ベーシックインカムの導入案が72%の反対で否決されています。実験地に選ばれたライナウ村のジェニ村長は実験に応募した理由を「政策を具体化し、重要な政治課題を人々の日常生活の場に落とし込みたい」と話し、この実験を通して活発な議論が行われることを望むと述べています。また、そもそもこの企画の提案者である映画製作者のレベッカ・パニアン氏は、その目的を、「自由を得ることで、怠け者になるのか、より自発的に働くようになるのか。この実験で住民がどんな行動を取るのか知りたい」と述べています。

これまでの経緯がわかる投稿記事を参考で引用していますので、合わせてお読みください。

チューリヒ州のライナウ村で、スイス初のベーシックインカムの試験的導入へ大詰め

 出典:  SWI swissinfo.ch のサイトより、2018-06-07

 チューリヒ近郊にあるライナウ村(人口1300人)が来年1年間、住民に無条件で一定額の現金を支給する「ベーシックインカム」を試験的に導入する計画を進めている。実現すればスイス初となる。

 アンドレアス・ジェニ村長は、市議会が計画を承認したと述べた。ただ実現にはクラウドファンディングで必要な財源を集めること、さらに住民の約半数に当たる600人以上の参加が条件となる。

 実験は2019年1月から12月末までの1年間。この村の住民で、実験に参加する意思を示した人に毎月2500フラン(約27万5千円)を支給する。

ライナウのベーシックインカム導入案

スイス公共放送(SRF)によると、実験に参加する住民に対し、毎月初めに2500フランを支給する。25歳未満の場合は減額される。

【例】

25歳以上:2500フラン(275,000円)

22~24歳:1875フラン(206,250円)

18~21歳:1250フラン(137,500円)

18歳未満:625フラン円(68,750円)

大人2人、子供2人の世帯:6250フラン(68万7,500円)

プロジェクトのサイトによると、2500フランを上回る収入があった場合は、月末にベーシックインカム全額を返金する。その代わりに自分の収入は手元に残る。

一方、2500フランを下回った場合は、収入を全額手放す代わりにベーシックインカムを受け取る。このため手元には2500フランが入る。

収入源は給与のほか、遺族・老齢年金(AHV)、社会保障なども含む。

返金に応じなかった人は実験の参加資格を失う。

期間は2019年1月から12月末までの1年間。

  このプロジェクトをバックアップするのは、映画製作者のレベッカ・パニアン氏のほか、経済学者のジェンス・マルティグノーニ氏とベーシックインカムの専門家ラルフ・モーザー氏。パニアン氏は「自由を得ることで、怠け者になるのか、より自発的に働くようになるのか。この実験で住民がどんな行動を取るのか知りたい」と話す。

 パニアン氏らが実験に協力してくれる自治体を公募したところ、100超の自治体が手を挙げた。パニアン氏は、ライナウを選んだ理由を「人口構成の数値等で、スイスのミニチュア版に最も近い」と話す。

 

 スイスでは2年前の国民投票で、ベーシックインカムの導入案が72%の反対で否決されている。ジェニ市長は実験に参加した理由を「政策を具体化し、重要な政治課題を人々の日常生活の場に落とし込みたい」と話し、この実験を通して活発な議論が行われることを望むと述べた。

フィンランド、米国、ケニア、ドイツでも

 フィンランドでも同様の実験が行われている。失業中の2千人に毎月560ユーロを支給すると言う内容で、実施期間は今年末までの2年間で、来年1月に試験結果が発表される。

 ケニアやドイツでも小規模の類似プロジェクトが民間人によって行われている。米カリフォルニア州ストックトンも来年、1年半に及ぶ実験を実施する計画を進めている。

 

参考1: 最新情報

ベーシックインカムの試行実験がスイスで始まる寸前です

2018年10月8日

出典: https://basicincome.org/news/2018/10/switzerland-a-basic-income-experiment-is-on-the-verge-of-starting-in-switzerland/

著者Andre Coelho

スイスのライナウ村は、ベーシックインカム実験の対象となっています。このアイデアは、Dorf Testet Zukunft組織(将来の村の試験)によって促進され、準備されています。それは2016年に住民の提案を経て始まり、当時はライナウ人口の25%以上が賛成してました。ライナウ村の人口は1300人にすぎませんが、すでに813人がその実験に登録しています。これは、組織が資金調達を開始するのに必要な、人口の過半数651人の登録人数を上回っています。

ベーシックインカムの試行自体は、実験に必要な十分な資金が確保されていることを前提として、2019年に開始される予定です。Dorf Testet Zukunft500万スイスフラン(4,400,000ユーロ):約572百万円以上の資金を調達しなければなりません。

 Dorf Testet Zukunftのチームは、プロジェクトの創始者であり映画制作者のRebecca PanianReto Ormos(財務エキスパート)、Reda El Arbi(通信)などを率いるいくつかの専属スタッフによって構成されています。Jens MartignoniFleXibles)、Aleksandra GnachZHAWの言語学教授)、Theo WehnerETH Zurich)、Sascha LiebermannAlanus Hochschule)など、プロジェクトに専念する科学チームもあります。その他のサポートのような活動家から来たダニエル・ハニゲッツ・ヴェルナーEnnoシュミット

 資金調達は、2012年にスイスに設立されたクラウドファンディング・プラットフォームであるWemakeitを使用して、集団形成プロセスを通じて行われる予定です。データは、「人々にはどうなるでしょうか?」そして「コミュニティではどうなるの?」という一般的な疑問に焦点を当てた、” Rebecca Panian監督のドキュメンタリー映画も企画されています。主な目的は、「私たちが将来どのように生きたいのか」という答えを探すことです。

 そのアイデアは、一言で言えば、Dorf Testet Zukunftのウェブサイトに書かれた以下の言葉に凝縮することができます:

「新しい可能性を可能な限り現実的にテストしたいのです。それには、それに挑戦するパイオニアが必要です。最もうまくいった場合:ベーシックインカムの考え方について話し合うように促すことができます。なぜなら、システムの変更は国民によってなされなければならないと確信しているからです。国が書いたものでは無くです。」

詳細は:Dorf Testet Zukunft ウェブサイトを参照ください。

 

参考2: 登録のスタート

831日のスタートに関する情報

出典: 2018年8月1日 :https://dorftestetzukunft.ch/en/info-about-the-start-at-8-of-august/

著者:レダエルビ:ドイツ連邦議会議員、ジャーナリストとコミュニケーション・プロデューサー

ライナウの居住者の大部分は、無条件の基本所得(UBI)を1年間テストするためにイエスと答えますか?
実験の登録は自発的に行われます。8月31日に大きな情報イベントが村で開催されます。それにより、住民は実験に参加することができます。

8月31日の情報イベントは、Rheinauの地方評議会とプロジェクトチーム “村の未来への試行”によって企画されています。住民はプロジェクトの背後にあるチームと彼らのモチベーションについて聞きますが、実験のために特別に作成されたUBIモデルについての詳細な情報を得ることができます:「人々が、なぜ私たちのUBIを選んだのか、モデルと、実験がどのように機能すべきかを理解することが重要です。」、プロジェクトの創始者、パニアン氏は述べています。プロジェクトチームが、プロジェクトやモデルに興味深いインプットをすでに提供している住民や地方議会との対話に参加することは重要です。「興味のある市民のおかげで、私は住民とのWhatsapp-チャットの一部であり、非常に重要な質問と示唆をもたらしました。」とパ二アンは言っています。

8月31日は申請期間の始まりです。この締め切りは9月15日です。このプロジェクトは、1302人の住民の50%以上が「はい」と答えた場合にのみ進めることができます。

 

参考3:プロジェクト開始と実験場所の決定の経緯

どのようにそれが始まった

出典:2018年8月18日:https://dorftestetzukunft.ch/wie-alles-begann/

著者:レベッカ・パニャン

なぜ映画制作者は、無条件のベーシックインカムが持つユートピア的な実験に挑戦するという考えを思い起こしたのでしょうか?

まず、アイデアとそれに基づいた新しい社会システムを理解したことと、第二に、世界的な経済社会的変化のためにナンセンスとして却下される前に、可能な新しい未来のアイデアを少なくとも試行することが有用であると考えるからです。

だから私は1月に電話をして公開しました。メディアの報道とチューリッヒの協会「DeinGrundeinkommen」の助けを借りて、私は100以上の村の提案を受けました。大部分は住民から、一部は地方議会から、Rheinauの場合と同様に提案されました。そこで,私に連絡したのは地元の評議員Karin Eigenheerでした。すべての村をリストに入れた後、どの村が適しているかを調べるために調査を開始しました。目標は、うまく混合された人口を持つ、ミニスイスを見つけることでした。

Rheinauは市議会議員のKarin Eigenheerによって登録されたため、最初からリストのトップにいました。カリンとの最初の電話の後、すぐに地方議会との最初の個人的な会合に出ました。その後すぐに2番目会合が続き、詳細を提供しました。それにより、地方評議会は確信をもって、前進しました。Rheinauは最初からこのプロジェクトに真に関心を示しました。だから我々の選択を容易にしました。

Andreas Jenni市長による「ライナウは、異なる点を明らかにしており、新しいことにオープンである」という声明からしても、実際に試行を実施できる可能性は非常に高いと思います

実験が始まるならば、成功は確実でしょう。そして、もしライナウの人々が自分自身とそのコミュニティにとって肯定的な結論を導くことができれば・・・。さらに、私たちは、科学的な検討や映画を通じて世界的な談話に貴重な貢献をしてくれることを願っており、目的をもって自問しています。将来どのように生きたいのか?

 

資金調達が成功して、来年の1年間の実験が上手く行くことと、村民の生の実感等が分かることを期待します・・・。

                                 以上

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