国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の中間報告

1.はじめに: CPOの歩み

COPは「締約国会議」を意味し、現在では温室効果ガス排出削減を目指す「国連気候変動枠組み条約の締約国会議」を指すことが一般的です。1995年から毎年1回開かれてきた会議です。1997年に京都で開催された国連気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で採択されたため、「京都」の名が冠されることになった京都議定書は、温暖化に対する国際的な取り組みのための国際条約です。この取り決めに基づき、日本政府も1990年比で2008~2012年に6%の温室効果ガスの排出量削減を義務付けられました。

2004年秋にロシアが京都議定書を批准したことで、2005年2月、京都議定書が発効(効力を持つこと)に至りました。これは、京都議定書の約束がいよいよ確実に達成しなければならない国際公約になったということを示すとともに、もう1つ、重要な意味を持ちました。それは「2013年以降」に関する交渉の開始です。日本は、この目標は達成することができましたが、途上国に対して削減を義務付けない同議定書を不服とし、次の約束である第2約束期間(2013~2020年)には不参加となりました。

京都議定書では決められていない、「2013年以降」の、国際社会による温暖化防止のための取り組みでは、各国が話し合い、2009年にデンマークのコペンハーゲンで開催されたCOP15・COP/MOP5までに決めることになっていました。しかし、厳しい交渉の末、国際社会はCOP15で新しい合意を作ることができませんでした。

その後、2010年のメキシコのカンクンで開催されたCOP16・COP/MOP6でのカンクン合意や、南アフリカのダーバンで開催されたCOP17・COP/MOP7でのダーバン合意を受けて、新しい交渉プロセスが立ち上げられました。2015年のCOP21において、「パリ協定」が成立し、新しい国際的枠組みが誕生するのには6年が必要でした。

2015年のCOP21の会議で、温暖化対策の枠組みを決めたパリ協定が採択され、2016年11月に正式に発効しました。パリ協定では、世界の平均気温の上昇を産業革命以前のプラス2度以内、さらには1.5度に抑えることを共通の目標にしています。歴史上初めて、すべての締約国に温室効果ガスの削減が義務づけられたのが特徴でした

パリ協定の下では、各国は国別目標(NDC)を策定し、実施することが求められています。たとえば、日本は「温室効果ガス排出量を2030年までに2013年比で26%削減する」という目標を掲げています。しかし、2018年10月に発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の1.5℃特別報告書においては、現状の各国の目標のままでは、今後、世界の平均気温は産業革命前と比較して約3℃上昇してしまうと予測されています。つまり、世界の国々の取り組みは、パリ協定の長期的な目標に全く足りていないのです。

最近最も注目を集めているのは、「市場メカニズム/非市場メカニズム」と呼ばれる論点です。これは、パリ協定第6条に書かれている仕組みについての論点であるため、「6条」と呼ばれることもあります。「市場メカニズム/非市場メカニズム」は、2カ国以上の国が協力して温室効果ガス排出量の削減を行なう仕組みとして、その設立自体はすでに決まっています。しかし、特に市場メカニズムと呼ばれる仕組みは、「削減量」を国際的に移転・取引する仕組みであるため、ルール形成のやり方を誤れば、パリ協定の下での各国の削減目標に抜け穴が生じるため、WWFを含む環境NGOはそのルールが十分に厳しいものとなるかを注視しています。

2大汚染国家は何をしていますか? (出典:BBCニュースより)

地球温暖化を引き起こしている最も一般的な温室効果ガスである世界の二酸化炭素(CO2)排出量の大部分が、わずか4カ国と欧州連合(EU)に責任があります。5者はいずれも2015年にパリ協定に署名し、世界の気温上昇を抑えるために排出量を削減しました。それ以来、彼らはどのようなステップを踏んでいるのでしょうか

21中国: 世界最大の排出国

  • 二酸化炭素排出量は2030年までにピークに達すると言う
  • 2030年までに非化石燃料のエネルギーの25%を目指す
  • 2060年までにカーボンニュートラルになることを約束

カーボンニュートラルとは、樹木の植え付けなどの大気から吸収する手段による、全体的な炭素排出量のバランスをとることを指します。中国はCO2の最大の生産国であり、世界の排出量の4分の1を占めています。そして、その二酸化炭素排出量は、主に石炭への依存のために、まだ上昇しています。

先月、習近平国家主席は、海外での新しい石炭火力プロジェクトへの資金提供を停止すると発表しました。しかし、中国政府は2026年から石炭使用量を削減すると約束しているが、国内では、急増するエネルギー需要を満たすために炭鉱の生産を増やすように命じられている。

二酸化炭素を最も排出している国々
国  名 総排出量(100万トン) 一人当り年間排出量(トン)
中   国 11,535 8.1
米   国 5,107 15.5
欧州連合(含む英国) 3,304 6.5
インド 2,597 1.9
ロシア 1,792 12.5

2019年のデータ;中国は世界中の太陽光の三分の一を占め、世界最大の風力エネルギーの生産国である:BBC。中国は現在、世界の太陽光発電の3分の1以上を占めており、世界最大の風力エネルギー生産国です。しかし、国際エネルギー機関によると、同国は気候目標を達成するために、2060年までに石炭の需要を80%以上削減する必要があるという。また、2030年までに別の温室効果ガスであるメタンの排出量を30%削減するという100カ国以上の気候サミットで行われた公約に加わったわけではない。

一方、気候行動トラッカーは、中国の政策と行動は「不十分」であり、すべての国が同じ道を歩んだ場合、世界の3度の気温上昇につながると述べている。

22 米国: 一人当たりの排出量が最も多い

  • 2030年までにCO22005年比で少なくとも50%削減
  • 2030年までに新車の半分を電動にしたいと考えている
  • 2050年までにカーボンニュートラルになることを約束

米国のエネルギーの80%以上は化石燃料によるものだが、再生可能エネルギー源は増加している。

エネルギー源 1990年 2000年 2010年 2020年
天然ガス 18.3 22.9 23.3 29.8
石油 31.7 36.5 33.7 29.4
石炭 19 22.3 21 9.4
原子力 6.67 8.7 9.15 8.98
生物、ゴミ 2.6 3.0 3.74 4.174
風力、太陽光 0.6     2.191
水力 0.983     1.055

出典:国際エネルギー協会          単位:%

ジョー・バイデン大統領の環境計画は、化石燃料から切り替える公益事業会社に報酬を与えるために1500億ドル(£100億)のクリーン電力プログラムを実施し、グリーンエネルギーをさらに拡大しようとしている。しかし、石炭とフラッキング産業への影響を懸念する一部の米国議員の反対に直面している。CO2排出量は過去10年間で減少しています。

しかし、気候行動トラッカーは、米国の行動と政策は「不十分」であり、地球温暖化の1.5Cの増加を維持するというパリ協定の目標を達成するために「実質的な改善」が必要であると述べています。

23 欧州連合: 排出量の減少

  • 2030年までに1990年比で55%の排出削減を約束
  • 2030年までに再生可能エネルギーの40%を目指す
  • 2050年までにカーボンニュートラルになる

EUのトップCO2排出国はドイツ、イタリア、ポーランドです。また、全体的な排出目標を持っていますが、EU諸国は金融能力と技術力が異なります。

しかし、2021年の国連気候変動会議(Cop26)に関しては、EUが単一の組織として交渉するので、すべての加盟国は、彼らがブロックの目標に到達する方法に同意する必要があります。気候行動トラッカーは、その政策と行動は、世界の気温上昇を摂氏2度未満に保つために「ほぼ十分」であると述べ、排出量は2018年以来減少していると述べた。

24 インド: 石炭への依存

  • 2030年までに「排出強度」の45%削減を目指す
  • 2030年までに非化石燃料からの電力容量の50%を約束
  • 2070年までに正味ゼロに到達することを約束

インドの年間CO2排出量は過去20年間で着実に増加していますが、トップ5の中で一人当たりの排出量は最も低いです。インドは、より裕福で、より多くの先進国は、時間の経過とともに地球温暖化にはるかに貢献してきたので、より多くの負担を負うべきだと主張している。これは、経済成長の単位当たりのCO2である「排出強度」を削減する目標を持っており、これは他の国と比較するより公平な方法であると述べている。

インドは、他の主要排出国よりも遅い2070年の正味ゼロの目標日を発表しました。また、風力、太陽光、水力などの非化石燃料源からのエネルギー生産の大幅な増加を約束しており、2019年までに23%に達した。しかし、インドの電力網の約70%は石炭によって動力を与えられています

そして、インドはCOP26で発表されたメタン排出削減イニシアチブに参加していない。気候行動トラッカーは、同国は2040年までに石炭発電を段階的に廃止し、非化石燃料から得られるエネルギーの目標を後押しする必要があると述べている。

25 ロシア:石油・ガスが牽引する経済

  • 2030年までに排出量を1990年比で30%削減
  • 2060年までにカーボンニュートラルになることを約束

ロシアは、世界中で二番目に大きい天然ガスの産出国です

      単位:10億キュービックメーター

産出国 2010 2020 産出高順位
米国 575.2 914.6
ロシア 598.4 638.5 2
イラン 143.9 250.8 3
カタール 123.1 171.3 4
カナダ 149.6 165.2 5

ソ連崩壊後、1991年、ロシア経済とその二酸化炭素排出量はとにかく縮小しました。しかし、ロシアは依然として広範な森林や沼地に頼って炭素を吸収している。

風力、太陽光、水力発電、その他の非化石燃料は、その総エネルギーミックスのほんの一部に過ぎません。

化石燃料は、ロシアで生産される財とサービスの総額である国内総生産(GDP)の20%以上を占めています。また、メタンの主要な排出国でもありますが、気候サミットで行われた排出削減の誓約に参加していません。気候行動トラッカーは、国の政策と行動は地球温暖化を1.5Cに制限するには「非常に不十分」であると言っています。

3. COP26でこれまでに合意されたことは何ですか?

COP26の草案が発表され、出席するすべての国が署名した会議の最後に合意の基礎を形成することが期待されています。

下書きテキスト発表とは何ですか?

主要なコミットメントは、各国が2022年末までにより野心的な炭素削減計画を提出し、貧しい国々が気候変動に対処するのを助けるために「年間1000億ドルを超える」気候金融を増やすことでした。この文書はまた、石炭と化石燃料の段階的な取り締まりを求めているが、確固たる日付や目標は提供していません。

なぜそれが重要なのですか?

このテキストは、すべての国が金曜日の夜に署名する予定の協定の基礎を形成する必要があります。今後10年間の気候変動に関する世界的なアジェンダを設定する。

詳細は今から金曜日の間に変更される可能性があります。しかし、それは私たちに異なる国の優先順位、そして彼らが合意した箇所だけでなく、彼らが同意していない箇所を示します。

それは目標達成に十分ですか?

このドラフトテキストは、議論中であり、期待される重要なトピックが数多くあります。これには、2025~2030年の気候金融の量、気候変動に適応する世界の一部に対するより多くの支援と金融、そして各国が既に行った進歩をどのように報告するかに関する目標が含まれます。

グラスゴーで他に何が合意されましたか?

次を含む新しい発表が相次いで行われました。

項目   発表内容 重要な理由 十分性
米中協力 米国と中国は今後10年間の気候協力を強化することを約束(メタン排出量;クリーンエネルギーへの移行;脱炭化) 世界の2大CO2排出国として、米国と中国の間の合意は、1.5Cの温度上昇閾値を手の届くところに保つために重要 ジェニファー・モーガンは、両国が気候目標を達成するためのより大きなコミットメントを示す必要があると警告
樹木   世界の森林の約85%を占める世界100カ国以上の指導者は、2030年までに森林破壊を止めると約束した。しかし、 インドネシアは、後にこの計画は「不公平」であると述べた 木は地球温暖化を増やす主要な温室効果ガスの一つである膨大な量の二酸化炭素(CO2)を吸収することができ、森林破壊の終了は重要な方法である 同様の以前のイニシアチブは森林破壊を止めていないが、これはより良い資金です。しかし、誓約がどのように取り締まられるか、または監視されるかは不明です。
メタン   2030年までに現在のメタン排出量の30%を削減する計画は、100カ国以上で合意されている メタンは最も強力な温室効果ガスの1つであり、現在、人間が生成した温暖化の3分の1を占め、大半は、牛の生産や廃棄物処理などの活動からです。 中国、ロシア、インドの大きな排出国は参加していないが、後で彼らが参加することを望んでいる。  
石炭   ポーランド、ベトナム、チリを含む主要な石炭利用者を含む40カ国以上が石炭から脱却することに合意した。しかし、この合意は石油やガスなどの他の化石燃料をカバーしていない。 石炭は気候変動の唯一の最大の貢献者です。使用量の削減は進んでいますが、2019年の世界電力の約37%を生産しています。 オーストラリア、インド、中国、米国を含む世界で最も石炭依存国のいくつかはサインアップしていない。    
お金   約450の金融機関は、その間で130兆ドルを管理し、再生可能エネルギーなどの「クリーンな」技術を支持し、化石燃料燃焼産業から直接金融することに合意しました。 民間企業が正味ゼロ目標を達成し、グリーン技術のための資金を提供することを約束する試みです。ただし、化石燃料金融の終了へのより大きなコミットメントがなければ、PR倒れになりかねません。 ネットゼロターゲットが実際に何であるかに関する設定された定義はまだありません。

4.終わりに 

 英国グラスゴーで開かれている国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)は2日、各国首脳レベルが参加する序盤の日程を終えた。米国のバイデン大統領は同日に記者会見し、多くの成果が得られたと総括する一方、「中国にとって(習近平(シーチンピン)国家主席が)対面参加しなかったことは大きな間違いだった」と問題視した。 同じく対面での参加を見送ったロシアのプーチン大統領にも言及し、「ロシアについても同様だ。深刻な気候問題を抱えているのに、何もせずに黙っている」と語った。

 しかし、その10日後の12日、米ホワイトハウスのサキ大統領報道官は、声明を発表し、バイデン米大統領と中国の習近平(シーチンピン)国家主席による初のオンライン形式の首脳会談が15日夜(米国東部時間)に開催されることを明らかにした。両首脳は、米中両国間の競争を責任をもって管理する方法について協議するほか、両国の国益が一致する分野で協力する方法について議論するという。米中両国は英グラスゴーで開かれている国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で、温室効果ガス削減対策を加速させる共同宣言を発表。15日の首脳会談の開催へ向けた地ならしとみられている。

 対立一方の米中関係が目立っていた中での、双方の歩み寄り、両巨頭の自国民を意識したものであったとしても、うまくいってほしいものです。久しぶりのグッドニュースだ。

グラスゴーでの第26回気象サミット(2021.10/31~11/12)

200カ国からの参加者 25,000人
英国での警察官 10,000
示威行動での参加者 100,000
気候変動を避けるための気温上昇の限度  摂氏 1.5度
各国への排出量削減の新計画の要求  約200カ国
富裕国の貧しい国々への支援の要求  1,000億ドル

これまで各国は「1.5度」や「先進国と途上国も共通基準で削減」といった目標設定ではうまく合意してきました。今回のCOPで溝や対立が目立ったのは、パリ協定が目標設定から実行段階に移ったからのようです。

最大の焦点だった石炭火力の利用に関する合意文書の表現は「段階的廃止」から「段階的削減」に最終局面で書き換えられ、COP26は13日夜に無事閉幕しました。

今後9年で温暖化ガスを実質的に減らすには大胆な産業、経済政策が必要なため、利害調整や合意が難しくなっている。途上国は先進国の大きな支援なしでは温暖化ガスの急速な削減を進めるのは難しいようです。

資源国は「特定のエネルギーに偏ることなく、多様な手段で進めるべきだ」(サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相)と強く反発しています。22年、23年のCOPはエジプト、アラブ首長国連邦(UAE)での開催となるため、欧州中心の舞台だった最近のCOPが中東に舞台を移すことで議論の潮目が変わるかもしれません。


大型化する台風の被害は20年には10兆円規模になり、19年に異常気象などで居住地を追われた人は約2400万人に上り、紛争を原因とする移動人数の2倍を超えたようで、気候変動に対応しないリスクは年々大きくなっています。気温上昇が1.5度を超えればそれはさらに強まる可能性が高いようなので、全人類による対応の強化が必須なのは確かなのです。

自然環境の最大の破壊者である人類殿

            

                  
              宇宙船地球号および人類以外の生き物一同 より

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