桜丘税の図書館便り【第6号】

 

桜ケ丘税の図書館便り

 

                                    20155月号 

 

20144月~20153月の追加分

税の図書館コーナー

お知らせコーナー

『トピックス』の一覧:

◇ 2015年3月5日更新

◇ 2014年11月7日更新

◇ 2014年8月1日更新

◇ 2014年4月9日更新

◇『吾輩は猫であった』続く

『お知らせ』の一覧;随時

『続きもの』の一覧

◇我輩の辛口コラム

◇ギリシャの財政再建物語

◇IRSスキャンダル

 

一般財団法人日本税務協会のホームページのご案内

                http://www.tax-nzk.or.jp/

 

 

 

                 目次

Ⅰ 税の図書館『トピックス』の更新一覧: 2015年3月5日更新;

 2014年11月7日更新; 2014年8月1日更新;

 2014年4月9日更新

Ⅱ 『お知らせ』の一覧: 随時更新

Ⅲ 『続きもの』の一覧

1 『吾輩は猫であった』(2013年5月スタート): 図書館コーナー

2 IRSスキャンダル(2014年7月14日スタート):お知らせコーナー

3 ギリシャの財政再建物語(2015年3月スタート): 同上

4 我輩の辛口コラム(2015年3月スタート): 同上

Ⅳ お勧めの読み物

 1 IMF発:5人のノーベル賞受賞者による、国際経済の重要課題の競演

 2 イアン・ブレマーがタイムズ紙に掲げた2015年度の世界リスク

 

Ⅰ 税の図書館「トピックス」の更新一覧

ここ1年間でのトピックスの更新内容の主なものは、以下の通りでした。

更新年月日

主なトピックス

2015年3月5日更新

イアン・ブレマーが予想する2015年度の世界リスク; IRSの申告書作成業者の名簿の公表税の専門家の選択); 「21世紀の資本」と税制についてBBCのサイトの世界中の富の偏在の記事

2014年11月7日更新

 

多国籍企業への課税強化(OECD/G20「税源浸食と利益移転」); 法人税法の改正の検討状況; IMFの税の弾性値に関する検討ペーパー; 英国内国歳入・関税消費税庁の課税強化政策等

2014年8月1日更新

 

新成長戦略・骨太の方針の要旨; IRS(米国内国歳入庁)スキャンダルその後; IRSの海外口座課税等

2014年4月9日更新

 

検査院による生活保護の実施状況についての報告書 ; 法人税の減税について; 我が国における個人所得税の捕捉率について等

2014年1月16日更新

 

政府を縮小することの現実性(ワシントンポストの記事); わが国における「行政改革」の限界; 社会保障における世代間問題を考える; 消費税の役割等

 

2015年3月OO日確定申告期間号

2015年の最初の更新です。 さて、昨年末の衆議院総選挙では、アベノミクスに対する国民の追認が行われ、『安倍総理の野心的な政治・経済改革を進めやすくなる』とし、ロイタ-通信も、『経済で痛みを伴う構造改革を進める一方で、平和憲法などの改正に注力する可能性もある』との専門家の分析を伝え、米紙のWSJ電子版は、アベノミクスの実行で多くの投資家を納得させるべきだとしています。

 経団連の榊原定征会長は、「山積する政策課題(を解決するための政策)を迅速かつ強力に実行できる政治の態勢が整ったことを大いに歓迎したい」とのコメントを発表し、景気回復や地方創生、各国との経済連携の推進など、内外の諸課題に迅速に取り組むことへの期待を表明しました。等の評価で、自民、公明与党の圧勝の結果で、新年を迎えました。

そこで、今回の最初のトピックスは、かのイアン・ブレマー がタイムズ紙に掲げた2015年度の世界リスクの記事の概要です。ご承知の通り、イアン・ブレマー は、24歳のとき、名門スタンフォード大学で政治学の博士号を取得した「天才政治学者」で、世界で名高い政治リスク分析会社「ユーラシア・グループ」を率いており、45歳である。

2年前に日本で公演したイアン・ブレマー氏は、 世界中が「経済危機でヨーロッパが崩壊する」と大騒ぎしていたその1~2年、彼だけは最初からはっきりと「ヨーロッパの問題は深刻だが、彼らは時間を掛けながら何とか乗り越えていくだろう」と予測しており、どうやらそれに近い動きであったようだ。

彼が見る2015年の世界の動きは、2015年のアメリカの不安な外交姿勢、今年の時の人のウラジミール·プーチン、世界の事件は,メデイアのなかに現れては消えの激動の年だろう。月曜日に、ウクライナの内戦、火曜日に、それはイラクとシリア(ISIS)のイスラム国家の台頭、水曜日は、見出しは、何か他のもの。といった不安定要因を心配していました。

 世界のうごきは、残念ながら、ブレマーさんの予想通りの動きとなっており、暗い幕開けとなったようであります。

 

「税を考える週間」とは

 国税庁では、毎年11月11日から11月17日を「税を考える週間」として、集中的に様々な広報広聴施策を実施しています。  平成26年の「税を考える週間」は、テーマを「税の役割と税務署の仕事」とし、以下の通り実施します。と書かれています。

税の役割  :  国や地方公共団体は、国民の生活に欠かすことのできない公共サービスを提供するため、様々な行政活動を行っており、その活動のために必要な経費を賄う財源が「税金」です。と書かれていますが、納税者が知りたいのは、その使途であり、本当に無駄遣いされていないのかということなのでしょうが、それは国税庁が所嘗することではないので、それに関する説明責任の全てを国税庁に求めることは出来ないでしょう。  

国税の多くは、給与等の源泉徴収制度のよるもの等を除いては、納税者自らが税務署へ所得などの申告を行うことにより税額を確定させ、この確定した税額を納税者が自ら納付する「申告納税制度」を採用しています。この申告納税制度が適正に機能するためには、第一に納税者が高い納税意識を持ち、憲法・法律に定められた納税義務を自発的に履行することが必要です。と書かれていますが、納税の義務の自覚は、直接税か、間接税か、源泉徴収されているかどうかなどで大きく異なります。  

国税庁では、この納税義務の履行を適正かつ円滑に実現するため、様々な納税者サービスの充実を図っています。と書かれていますが、課税当局が関心があるのは、税法上の納税義務者の適正申告を支援するためのサービスはどうしたらよいかということなのでしょうから、例えば、サラリーマンへの還付申告等へのサービスや、節税等のためのサービス等は、支援の対象としては、二の次とならざるを得ないこともやむを得ないでしょう。課税当局が、納税者の節税よりは、適正課税を優先せざるを得ないのは、国税庁の使命からやむを得ないのではないでしょうか。(やはりもと国税だね?)

 

IRS(米国内国歳入庁)スキャンダルその後

 昨年5月にアメリカのマスコミを騒がせた、オバマ大統領がらみの米国の内国歳入庁のスキャンダルは、約1年経てもいまだ尾を引いているようですが、マスコミもそろそろ飽きが来たと見え、IRSの本来の機能を果たさせる方が大事ではないかとの論調が出始めてきたようです。そこで、その進展具合を簡単にご説明します。

1.スキャンダルと呼ばれた理由と問題の背景

ご存じの人も多いと思いますが、昨年の5月にCNNやニューヨーク・タイムズ等が連日報道したことが、オバマ政権のスキャンダルと騒がれたことも否定できないでしょう。ポリティカルアポインティ―としての長官を、オバマ大統領が怒って更迭したと報じられましたが、先のIRSの長官、ダグラス·シュルマンは、任期満了の2012年11月に退任し、代理長官に就任していたスティーブン·ミラー前次長がティーパーティー·グループの扱いについて謝罪した後の5月に辞任することを、大統領が認めたにすぎないのです。

IRSは、ティパーティまたはペイトリオット(愛国者)の名称を利用して税控除を申請したグループに対して、他のグループより多くの時間をかけ、様々な質問をするなどの不愉快な対応をしたと言われています。15日の『ニューヨーク.タイムス』によると、IRSは、数年前、税控除申請を受け付ける176のグループのリストを公表していたという。その過程には様々な角度からの検査や質問などが条件であり、主にオハイオ州のシンシナティの事務所で行われていて、ティパーティ運動が台頭した2010年から開始したようである。その背景には、2010年1月「 Citizen United v. Federal Election Commission」(市民連合対連邦選挙委員会)の裁判で最高裁は、憲法第一条の言論の自由に照らし、企業、組合も人であるため、議会が選挙資金献金の限度を定めることは違憲であるとする判定を下した。この判決後、501(C−4)コードに属する社会福祉団体の税控除申請は急激に増えたため、莫大な量の申請書に対処しなくてはならなくなったという。なぜ、この類いの申請が増えたのか?それは、501(C−4)に属するグループの申請には政治献金者の氏名を公開する必要がないからです。そのIRS事務所で、 職員は税控除申請を提出したティパーティのグループに対して、 将来の寄付者名など不必要な質問も含めて、他の組織のグループより多くの質問を浴びせたという。『ロイター通信』によると、申請のプロセスが選挙後まで遅れたケースもあれば、干渉的な質問が多かったとの苦情もあり、税控除が受けられる状況になるまで3年間待たされたケースもあったとティパーティの複数のリーダーが語っていたというのです。

このような報告に、 保守派の議員、特にティパーティ議員と呼ばれる複数の共和党議員は穏やかではない。関与したIRSの職員の正確な人数を含め、虚偽の声明があったかどうか、また自由権の侵害はなかったかどうかを追求する用意があると言われている。更には、オバマ氏を弾劾したい共和党議員らは、この情報が昨年(2012年)11月の大統領選挙前にオバマ氏に通達されていたかどうかも明らかにしたかったようです。もし、通達されていたのであれば、一昨年は選挙年であったため、意図的に表面化させなかったのかどうかを知りたいと意気込んでいたようでした。ミラー代理長官の辞任とともに、2013年の5月以降、IRS、有給休暇に置かれていた非課税団体の元ディレクターのロイス·ラーナー女史を含む少なくとも4人の幹部を、解雇しています。特に、ロイス・ラ―ナーさんは何度も議会の委員会の公開の聴聞を受け、最終的には、自己に不利な証言は拒否できるとの憲法上の権利に基づいて、証言を拒否していました。

2.委員会の公開の聴聞での争点

 昨年5月17日の『ワシントン.ポスト』によると、ミラー代理長官は、政治的な動機があったかどうかに関する質問で、彼自身は、政治的任命は受けていないため、政治的グループの税控除申請を許可するべきかどうかを判断するための適切な方法について、議会からの明確な指導を受けることには利点があるはずだと述べ、超党派の立場であることを明白にした。また、IRSは政治的には中道であるはずだとし、関与した職員は政治的な意図に基づいて対処したものではないと信じると述べた。更に、アメリカ国民や議会を欺くようなことはしていないと主張した。

オバマ政権は、2010年からIRSが政治団体の税控除申請の監察を行っていることを知っていたかという点について、財務省監察官のラッセル.ジョージが証言した。17日の『ニューヨーク.タイム』によると、ジョージは 政治的活動を展開している組織の税控除申請を監察していることを古参の財務省の弁護士に2012年6月4日に語り、その後すぐ、副財務長官ニール.ウォーリンに語ったと告白した。 オバマ政権の一部の当局者は大統領選挙期間中、このことには気付いていたと初めて公表した。 また、ミラーも複数の共和党議員に、保守的なグループを標的にしていることがIRS以外のオバマ政権当局者に漏洩した可能性があるかどうかを聞かれたとき、「それは法律違反だ」と反応し、「それが起これば、私はショックを受けていた」と述べたという。

NYタイムス紙は、IRSが、特に保守的はグループを選定し余分な監察を実施していたことをオバマ政権の一部の当局者は知っていたが、大統領選挙のキャンペーン中は明らかにしなかったことを暗示するようなジョージの証言は、共和党議員に火をつける可能性があるとし、2012年の大統領選挙で共和党の副大統領候補であったポール.ライアンは「それは大きな問題を発生させる」とコメントしていると報告しています。

ご承知の通り、米国議会の下院では共和党の方が多数党で、共和党の若手は、反オバマの社会運動ともなった、保守派「テイパーテイ」の強力な支援を受けています。そのため、共和党としては、あげた手を下すこともできず、

昨年5月には、ホルダー米司法長官は14日、保守系政治団体「ティーパーティー(茶会党)」などを狙い撃ちにした内国歳入庁(IRS)の審査について、司法省が犯罪捜査を開始したと述べていたが、2014 年 1 月 14 日 15:23 JSTに記事にその後の動きがわかりました。

 米法執行当局者らによると、免税を求める保守系団体の税務審査を内国歳入庁(IRS)が厳格化していたことについて、連邦捜査局(FBI)は刑事訴追を予定していない。これにより、政治的な動機によるスキャンダルとされたこの問題をめぐる論議がかえって激化する公算が大きいとの報道です。スキャンダルの発覚以降、共和党はオバマ政権が自らの官庁の不祥事を適切に捜査できるのかどうか疑念を表明していた。下院監視・政府改革委員会の委員長を務めるダレル・アイサ議員(共和、カリフォルニア州)は先週、本件を扱う司法省の検察担当者の公平性が疑われると異議を唱(とな)えた。この検察担当者がオバマ陣営に献金を行っていたためだという。

 これに対し民主党は、IRS職員側に犯罪行為がなかったとの見方を維持してきた。IRSには保守系団体を不当に扱ったり弱体化させたりする意図はなかったと主張し、その理由としてリベラル系の団体も同じような審査を受けていたことを指摘してきた。

同当局者らによれば、捜査当局はこの件で、刑法違反に相当する「敵狩り」ないし一種の政治的バイアスの証拠を見つけられなかった。その代わり、免税申請に関するルールが理解されておらず、審査の規則施行の管理が間違っていた証拠が出てきたという。

 捜査に詳しい当局者によると、捜査は続いており、今後何カ月も続く可能性があるものの、結果として刑事訴追が行われる可能性は一段と低くなっている。ただし、予期しない証拠が見つかり、当局の考えが変われば、それも変わる可能性があると同当局者は警告しています。

3.オバマ大統領の対応とその後

 そのため、オバマ大統領は、2013年の8月に、新しい長官に、ビル·クリントン大統領の下で行政管理予算局の元副ディレクターであり、2000年のコンピュータシステムを変換するための準備をリードした百戦錬磨のジョン•コスキネンを指名し、13年の12月に任命されたのでした。しかし、それに続く即時の政治的騒動では、大統領はバラク·オバマ大統領はその後、IRSの代理長官、スティーブン·ミラーを更迭しましたが、それ以来、オバマ大統領はIRSの執行行為への継続的な共和党の集中砲火を、「インチキな」スキャンダルと呼んでいるそうです。

2014年7月5日付のニューヨークタイムズ編集委員会の内国歳入庁の本当のスキャンダルと題した報道 によれば;

内国歳入庁で起こっているスキャンダルはあるが、それはロイスラーナーまたは彼女の行方不明のメールとは何の関係もありません 下院の共和党は、彼らはオバマ政権内で広範囲に政治腐敗であるとイメージを当てるものをラーナーさんと結びつけるための彼らの騒々しい十字軍をあきらめていないが、彼らが証明しているすべてが、IRSは他のほとんどの政府機関よりは、そのコンピュータのファイルをバックアップでよくはないということです。

いや、本当のスキャンダルは、共和党が事実上誰も見ていない時にIRSを不自由にしたことである。  2010の幅広いティーパーティー主導の歳出削減以降、当局の予算はインフレを考慮に入れた後でも14%カットされ、急激な職員の減少、税法の貧弱な執行及び納税者サービスの低下をもたらしています。

といったような、ティ―パーティ中心のあまりにも政治的な圧力が、本来政治への中立を旨としている税務当局に向けられ、税務執行の本来の役割の邪魔をしているのではとの新聞論調が増えている様な気がしてなりません。

 非課税団体の基準をもっと明確にした新規則をIRSが作り、施行したいのですが、下院多数党の反対が明らかなので、次の中間選挙が終わるまでは、現行のままで行かざるを得ないようです。アメリカの税務行政の古き良き伝統が、社会保障の一部を所掌する等に端を発して、政治的な圧力がますます強くなっているのを見るにつけ、政治家の大臣を長とする財務省の直轄下ではなく、政治による圧力がかからないように、外局として存在しているわが国税庁の伝統だけは是非維持してほしいものだと、このトピックスを通じてつくづく感じた次第です。

なお、この騒動のその後の動きについては、引き続きフォロ―することとしているので、(続く・・・)ということにしておきます。

 

その他 (所得税の捕捉率について等)

  個人所得税における納税の申告水準(コンプライアンス)又は捕捉率等の問題は、極めて専門的で素人にはわかりにくく、大昔には、9・6・4(ク・ロ・ヨン)、とか10・5・3・1(ト-・ゴ-・サン-・ピン)などの暗号めいた言葉が、マスコミ等で一人歩きしていたことがありました。そこで、その実態についての報告書を見つけましたので、ここにご紹介申し上げます。税法通りに納税が行われているかどうかは、世界各国共通の関心事項ではありますが。その実態は、神のみぞ知るといった方がよいでしょう。一言でいえば、それはその国の文化、社会制度、政治や行政のレベル等によっても異なるでしょうし、業種等によっても異なるといわれています。又、人間の本質、良心、性善説、性悪説等にも関連するものでもあるようです。このコーナーでは、公開されている資料等を基本に、この問題を継続的にフォローすることとしておりますのでご期待ください。税法で納めるべき税額に対する実際に納められている税額の割合(申告水準又は所得の捕捉率)を、源泉徴収されているサラリーマンと、個人の自営業者と、農家との間には、ク・ロ・ヨンの違いがあり、それに政治家の申告水準を加えたのが、ト-・ゴ-・サン-・ピンであるわけで、一時期には、これほど極端な差はないにしても、

  余り罪の意識の無い脱税のチャンスの違い、みんながやっているのだからとか、商売の、又は政治活動上での必要悪的なものから慣行的に行われていたものがあったことは否めないでしょう。其監視役たる税務執行当局の体制如何も大きく影響することは、発展途上国の申告水準等の報告を読むと明らかであります。といった観点から、税と社会保障の一体改革論議での、所得保障、社会保障、国民背番号制(マイナンバーでしたね〕、等とも関連する問題なので、この報告書を読んでいただきたいと思います。

 

Ⅱ 『お知らせコーナー』の一覧(2014年の夏ごろスタート)

「お知らせコーナー」の主な記事等

番号

標      題

掲載日

確定申告スタート

2015年1月30

99歳のおじいちゃんが教えてくれた「25の人生の教訓」

2015年1月9

IMF発:5人のノーベル賞受賞者による、国際経済の重要課題の競演

2014年10月8

英国における適正課税の強化の動きについて

2014年9月17

宗教と納税義務に関する1つのエピソード(イタリアの歳入庁の新長官の失言?)

2014年9月8

カナダ在住のアメリカ人一家からのオバマ大統領宛て「アメリカ国籍離脱の通告状」

2014年8月25

 

宗教と納税義務に関する1つのエピソード(イタリアの歳入庁の新長官の失言?)

2014年9月8日掲載

宗教と納税義務に関する1つのエピソード

 アメリカの月刊誌フォーブズのサイトに、興味ある記事が出てたので翻訳してみました。そのタイトルは、「新任のイタリアの歳入庁長官は、イタリア人が税金を払っていない理由を知っていると云ってます:彼らがカトリックだからだと。』というものでした。まず気になったのが、バチカンの反応でした。

イタリアは、毎年の未徴収の税が1600億ドルと推定されているようで、執行上の問題があるとされているようです。それは西ヨーロッパで三番目に高い割合です。記事では、イタリアの人口よりも5倍以上大きい米国との比較で、約2.5倍の税務上のギャップ(徴収漏れ)3850億ドルとしています。

政府への不信とともに、比較的高い税負担が、イタリアの高い不遵守率の理由だという人たちや、税制による所為だと云う人もいるようです。しかし新任のオルランディ、歳入庁長官は、別の受け止め方をしていました:イタリア人はカトリックであるため、税金を払っていないのだと。

その発言は、オルランディの歳入庁での目標を述べたスピーチでのようでした。彼女は、宗教に依存した国の高い脱税率を非難して「イタリアでは、税金の恩赦と寛解は私たちの日常の糧です。私たちは、強力なカトリックの環境を持つ国であり、私たちは日常的に罪を犯しそして赦しを得ています。」と。

オルランディは、脱税を犯す人は「遅かれ早かれ、彼らは免除されることを期待しています。カトリックの環境は、これらの脱税者たちを、税の避難所や恩赦が来ると信じるよう、リードしています。」と続けたらしいのです。オルランディは後にそのコメントを「冗談」と云って謝罪したようなのですが。

カトリック教会は、その発言を面白くは思わなかったでしょう。オルランディ発言が、カトリック教会と密接な関係にあるイタリアの新聞に暴露されたため、最終的には、「私の言葉が誤解を作りだしたか、誰かの感性を怒らせたとしたら、お詫びいたします。」との謝罪を余儀なくされたようです。

謝罪はイタリアからの最新の経済データが公表されたわずか数日前におこなわれました。イタリアの国内総生産は0.2%減、前四半期に続いての減少でした。これらの数字は、西洋の他の国にとっては心配です。イタリアはユーロ圏ではドイツとフランスに続く第三位の経済規模を持っているからです。

これまでに、教皇フランシスはオルランディのコメントには応じておりません。彼は、しかし、脱税についての彼の立場を明確にしています。昨年、彼の使徒の勧告(PDFファイル)中で、彼は「広範な腐敗と利己的な脱税が、世界的な広がりとなっています。」と激しく非難しました。

これまでバチカンでの税についてのコメントは、「私たちは、その義務が、正しい法律によって課され、正当な国の機能のために支払うように仕向けられている限り、納税しなければなりません。」とされ、正しく使われてなければ、脱税も正当化される可能性があるとも解される表現がされていました。

宗教と税のバランスをとることは、長いあいだデリケートな問題となっていました。アメリカ国内では、それが免除の問題(サイエントロジー・新興宗教を考えてください)および教会の聖職者や給与の問題になった時に、見てきました。他の国ででも、例えばドイツでは、「教会税」またはKirchensteuerがあります。

この記事の投稿者は、「教会が、政府を含むイタリアの文化の側面で重要な役割を果たし続けることは明らかです。教会と国家の豊かな歴史を持つ国では、現在の政権がどのように、その役割をバランスさせるかは、彼らがオフィスに滞在する期間を決定させることとなるでしょう。」と結んでいます。

 ご案内の通り、我が国では、憲法第30条と84条に納税の義務と租税法律主義が規定されています。それが正しく履行されているかどうかをチェックし、監視し、悪質な違反者には、刑事罰まで科して、国家活動の原資たる歳入の確保をするために、国税庁が存在するわけです。よく適正申告という言葉を聞かれるでしょうが、外国では、コンプライアンスとかタックスギャップといった表現で、納税者の税法を守る全体的な水準もしくはレベルといったものを表現し、その向上こそが税務の執行官庁の最終的な役割と言われていようです。我が国では、納税道義という言葉がことが使われたりするようですが、法律的な義務という前に、道徳的なものがあるのではないかといった気もいたします。その意味で、この記事は、納税義務と宗教とのかかわりの一面をうかがわせてくれます。

 

カナダ在住のアメリカ人一家からのオバマ大統領宛て「アメリカ国籍離脱の通告状」

2014年8月25

http://www.forbes.com/sites/robertwood/2014/08/15/dear-mr-president-why-im-leaving-america/

大統領様、だから私はアメリカ国籍を離れるのです

大統領閣下;

重たい心で、私、主人及び娘全てが、アメリカの国籍を放棄することを真剣に行おうとしていますので、この手紙を書いています。私たちはこれをアメリカでの納税を避けるためではなく、アメリカ国外に住んでいる法律をよく守るアメリカ人を露骨に差別し不公平にしている制度に強く反対するからであります。その上、現在海外に在住のアメリカ人に適用されている税の申告の要請のすべてを守ることは、あまりにも高くつき、あまりにも困難で、率直に言ってあまりにもビックリすることすぎるのです。

私の主人は70歳で、私は69歳です。私はセントルイスで、主人はデンバーで、娘はトロントで産まれました。主人がペンシルベニア大学の歴史の学位を取得した時、私も同時に1971年にビラノバの法律の学位を得ており、主人はカナダ大学でアメリカ史の教職の仕事を得ました。私も同じ大学で、法律学を教えていました。私たちは、カナダに留まることを望んだことは一度もありませんでしたが、御承知の通り、人生は予測できないもので、私どもは43年間幸せにここに住んでまいりました。私はかなり以前に退職し、主人はもっと最近に退職しました。

 専門知識を生かすために、私は1985年にオンタリオの法律家協会のメンバーになり、そのためにはカナダ国籍の取得が必要でした。主人も数年遅れて、選挙権を行使したいのと娘の養育のために同様に国籍を取得しました。私たちは、アメリカアにおいては国の選挙で投票を続け、パスポートもカナダとアメリカの両方を有し、43年の間、一度もアメリカでの申告納税を怠ったことはりませんでした。もちろん、その義務は免除されていませんでした。

カナダの毎年の確定申告、またある時には両方の国での納税を行いました。

(私どものだれもアメリカの社会保障、医療保障の資格を持ってはいないことをご留意ください。)

しかも、私どもは今や第2順位のアメリカ国民が最高で、最悪は刑事の犯罪人と扱われるよう感じているのです。私どもが毎年申告しなければならない

FBARの様式は、米国財務省の査察部に提出され、それには、預金口座から、投資講座、退職口座までのすべての個別の口座の金額を詳細に含んでおります。ここでのメッセージは、不正申告への巨額の罰金とともに、アメリカ国民を無実の証明がなされるまでは有罪であるように感じられるのです。

 最近私は、二重国籍であることがすべての税上の不利益でのトップであり、カナダに在住で働いているアメリカ人は、その金融上の危険を招くものとしてのみ、カナダの投資信託を持つことができるのです。これらの商品は、商品の一つごとに、面倒で金のかかる税の申告が必要で、(私たちがカナダの投資勘定では持つことができない)アメリカの投資信託よりはもっと高い税を必要とします。カナダ在住のアメリカ国民にとってのこの新たな障害が意味するものは、アメリカの投資信託の購入を禁じられている上に、私たちの投資のポートフォリオの中で、その相続財産とは何の関係も無いかもしくは預金と退職の戦略に追加するものであるとも理由で、カナダの投資信託を売らなければならないのです。

 私が知る限りでは、IRSはアメリカに在住の国民に対しその国内での投資信託を持つことは罰せられるとは云っていません。ならば、なぜそれが公平と感じるのか又は、カナダの在住のアメリカ人はカナダで作成された投資信託への単なる投資が、罰せられるのが望ましいのでしょうか。明らかにしてください。これらは、中東のテロリストの活動への投資信託ではありません。これらは、カナダの国債と企業とともに、アメリカの国債と企業への投資に重点に置いた基金です。

IRSは、カナダの投資信託を外国投資とみなしますが明らかにカナダ在住のものにとっては国内投資なのです。

それにもかかわらず、私は投資のアドバイザーのそれらの売却を指示しなくてはなりません。国内在住のアメリカ人は、国内発行の投資信託でのキャピタルゲインには、15%を支払っています。

 カナダ在住のアメリカ人は、カナダで発行の投資信託でのキャピタルゲインには、例え両方の商品が非常に似通った対象を踏んでいたとしても、38%以上払わされるでしょう。これは、カナダ在住のアメリカ国民に、退職後の資産形成で場所による不利益を課しています。私たちは、この差別と二順位の扱いに対し何をするべきでしょうか。老後のためのお金をベットの下に隠すべきなのでしょうか。

 長年私どもは、税の申告書を提出するために、資格のある会計士を使うことでかなりの出費を喜んでしてきました。

お分かり頂ける通り、二重国籍のものは、全ての会計士を使うことはできませんし、彼らがアメリカの税法と租税条約そしてアメリカ国外に在住する者だけに適用になる特別な要請のすべてに従うのに混乱していることは自信をもって感じています。これは、必要な様式のいくつかの無知による間違いででさえも、査察部が調査するという場合に特に言えることです。

  しかしながら、全体的な負担と不公正さは、納得して負担するのには余りに重すぎるようになりました。私が古くから知っているアメリカ人の先祖、ヨーロッパから船で来てケンタッキーに166年前に植民した先祖は、私がアメリカ国籍を放棄する事考えて、【お墓の中で寝返りを打つ】ことでしょう。しかしながら、コロラドで成長して、何が正義かによって立つ教育を受けました。以後そのように行動してきました。

 他国にいるアメリカ人にアメリカがしようとしていることは、正しくないし、もう沢山です。私がここで述べたことはその問題のほんの1部分です。

アメリカ人としてその責任を果たす代わりに我々がほしいのは、公正に平等に扱ってほしいということです。我々は自分達の役目を果たしています。アメリカはしていません。

 現在、約百万人のアメリカ人が、カナダに住んだり働いたりしています。私たちの税の専門の会計士、および国際的なコンサルタント達から、このきわめて劇的で、以前から考えてもいなかったアメリカ国籍の離脱をしようとしたり実行に移そうとするのが私だけでないことを知らされています。

アメリカと世界中のアメリカ人にとって何という悲しい事態なのでしょうか!!

           敬具

この投稿へのコメントより;

マリリン

 ・コメンテーター(3年前にアメリカ国籍を放棄した者)のコメント

私は、2011年にアメリカ国籍を放棄しました。アメリカは道徳的にも財政的にも破綻している自暴自棄の国です。アメリカは、国内に住んでいないか課税で便益を受けていない人たちをそのようにせきたてているに違いありません。

・投稿者(作者)の返事

  多くの人たちは、税を理由に国籍を放棄しません。あなたがそれを理由に放棄されたのは残念です。

 

Ⅲ 「続きもの」の一覧

 

番 号

標      題

掲載日

小説

『吾輩は猫であった』:税の図書館コーナー

2013年5

続き1

IRS(米国内国歳入庁)のスキャンダルその後 (続く・・・)

2014年7月14

続き2

ギリシャの財政再建物語 (続く・・・)

2015年3月11

続き3

我輩の辛口コラム

2015年3月20

 

ギリシャの財政再建物語

はじめに(2010年~2011年)

2009年10月、NDからPASOKへの政権交代で、長年の財政赤字が発覚したギリシャは2010年4月23日、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)に対して、ついに金融支援を正式要請した。2010年5月からPASOKのパパンドレウ政権(当時)の下で、国際通貨基金(IMF)、欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)からの融資と引き換えの緊縮財政が開始した。

 一方、はるかかなたの我が国の2009年の12月時点での鳩山内閣の2010年度予算では、財政赤字のGDP費は、9.3%で、ギリシャ議会が24日に可決した同国の2010年度予算(対象期間は暦年と一致)における財政赤字の名目GDP比9.1%と、ほぼ同じ数字である。との報道が思い出される。さらに当時の報道によると、このギリシャの予算は、歳入が前年度比+9%で、歳出(除く債務返済費用)が同▲3.8%。2009年度に名目GDP比12.7%に膨らんだ財政赤字を、通貨統合参加国の縛りである3%以内へと削減していくための第一歩として、赤字を80億ユーロ削減する内容でしたが、公的部門の賃金カットといった施策には踏み込まず、大型の不動産課税や公務員の福利厚生削減、脱税取り締まりの強化といった、持続性に欠ける財源確保策が中心になった。このため、格付け会社は予算の可決成立前から、相次いでギリシャ国債の格付け引き下げられました。フィッチは12月8日にBBB+に1ノッチ引き下げ(アウトルックはネガティブ)。16日にはS&PもBBB+に引き下げた(クレジットウォッチを継続)。さらに、ムーディーズは22日、A2へと1ノッチ引き下げた(アウトルックはネガティブ)のでした。

何よりも重要なのは、そのギリシャ支援策実行が、欧州通貨統合がはらんでいる制度的欠陥、すなわち金融政策はECBの下で単一だが、財政政策は各国の主権を尊重する形になっているという統合の不十分さ・弱点を解決するものではなく、単に当面の危機を乗り切るための方策にすぎないということでした。金融支援側でのユーロ圏で最大の経済規模を有するドイツのメルケル政権は、国内世論で反対意見が多数を占めるギリシャ支援策の実行を、何とか5月中旬以降に先延ばししたかったものと推測される。それは、連立与党が敗北すれば州代表で構成される連邦参議院(上院)の過半数を失うことになる重要な政治イベント、ノルトライン・ウェストファーレン州議会選が5月9日に控えていたからでした。

メルケル独首相は、今回ギリシャに対する支援に動くにあたって、「通貨ユーロの信認を守ることは、ドイツ政府だけでなく、すべてのユーロ加盟国にとって最も重要なことだ」と、その理由を説明した。しかし皮肉なことに、そのドイツがギリシャ問題で国内事情を優先してきたことも手伝って、市場はユーロに対する信認を大きく低下させているのである。

ギリシャの財政危機が、最大450億ユーロの金融支援策実行によって、本当に沈静に向かうかどうかについては、市場は、いったん収まるのではということにさえ、懐疑的であるように見ていました。

 当時のFT誌紙の記事では、現実味が増してきたギリシャのユーロ圏離脱の見出しで、ユーロ圏のGDPの2%程度しか占めない小国ギリシャが単一通貨を大きく揺るがしている〔AFPBB News〕 ここに来て、ギリシャの離脱は決して考えられない話ではなくなっている。 シティグループのチーフエコノミストで、ユーロプロジェクトの熱心な支持者でもあるウィレム・ブイター氏は先週発表した共同執筆リポートの中で、ギリシャが向こう1年半以内にユーロ圏から離脱する可能性は50%にまで高まったと述べている。と報じていました。執筆者たちは「そう判断される主な理由は、ギリシャが救済プログラムの条件を順守しなくてもさらに支援を続けようとする(ユーロ圏の)債権者の意欲が著しく低下したと考えられるためだ」と付け加えている。

金融支援の条件であった緊縮財政の結果とはいえ、ギリシャは前進を遂げ、同国のプライマリーバランス(利払い前の基礎的財政収支)の赤字は、2009年のGDP比10.6%から、

2011年には、深刻な不況にもかかわらず、政府債務の利払い前の経常赤字はまだGDP比4.6%に上っていた。景気後退の規模を考えると、これはかなり大幅な赤字削減であり、ギリシャ政府は今や、債務を借り換え、元利返済を賄うためだけに借り入れを行えばいい段階に近づいていました。しかし、これでも十分ではありません。政府債務にかかる対外金利支払いを無視したとしても、ギリシャは経常赤字を埋めるために、かなりの規模の外貨流入が必要になるのです。

 

2011~2012

ギリシャは、2012年3月に、民間投資家の自発的な債権放棄と、これに応じない投資家に対しての集団行動条項発動による強制的な債務カットを併用した事実上のデフォルトを余儀なくされた。しかしながら、その後も同国の経済・財政運営は計画を大幅に下回り、春先に合意したばかりの債務返済計画の実現可能性が、早々に疑問視されるという深刻な事態に陥った。ギリシャ国民は、5月と6月に続けて実施された総選挙において、「厳しい財政緊縮継続・ユーロ圏残留」か、「緊縮策の棚上げ、再デフォルト、ユーロ圏離脱」か、というギリギリの二者択一を迫られた結果、民意はかろうじて前者を選んだのである。

他方、ギリシャに対する債権者であるユーロ圏他国、ECB、IMFという「トロイカ」側は、ギリシャ国民のこのような判断を受け、同国経済をそのままユーロ圏内にとどめたうえで、経済再生・財政再建を実現することが本当に可能であるのかどうか、2012年12月のEU首脳会議までの約半年間という長い時間をかけて、熟考することとなった。

換言すれば、ユーロ圏各国は、経済・財政状況が著しく悪化し、通貨圏内にとどまることが困難視される国、という限界的な事例が現実のものとなるなかで、①当該国にどれほどの財政緊縮努力を求めるか、②通貨圏内の他国はどこまで当該国を支援するか、③当該国は引き続き通貨圏内にとどまったうえで、中長期的な経済再生と安定的な財政運営を回復することが可能か、④ユーロ圏全体としても、当該国を引き続き通貨圏内にとどめながら、同時に経済・財政統合のさらなる強化を図ることが可能か、という点でのギリギリの決断を迫られたのが2012年であったとみることができよう。

そして、2012年の年末に、トロイカ側と当事者であるギリシャがようやく出した答えは、次のようなものでした。

①ギリシャは12年3月合意ベースよりも、13年の財政緊縮幅をさらに上積みするなど、前例がないほどの厳しい歳出カットや増税・増収(徴税率の向上)の強化を約束する。

②ユーロ圏他国側は、ギリシャの現実を目の当たりにして、各国の世論がやや軟化したこともあり、13年以降、同国へのさらなる支援を検討する。

③ギリシャは引き続きユーロ圏内にとどまりつつ、12年12月に、事実上の再デフォルト(注1)を秩序立って実施することにより、債務負担を軽減し、経済再生・財政再建を図る。

④(ユーロ圏首脳が明言していることではないが)ユーロ圏の統合は、当面、財政資金を要しない「銀行同盟 」(注2)の強化を中心に進める。ギリシャが残留する以上、ユーロ圏全体としての政治・財政統合は、少なくとも当面の間、棚上げする。

というものでした。

 ギリシャに対するユーロ圏等からの支援融資は、同国にギリギリの線まで財政緊縮努力を強いるため、半年以上の間先延ばしされていたが、この決定を受けた12月、ようやく実行された。また、12年3月以降、ギリシャ国債をオペの適格担保から除外していたECBも同じく12月、適格性の回復を認め、ギリシャの民間銀行は、ようやく、無担保・高利の特融(「緊急流動性支援」)ではなく、有担保オペにより、ユーロ圏他国の民間銀行と同様、ECBから低利で資金調達することが可能となったのである。

(注1) ギリシャ政府は2012年12月、ESM(欧州安定メカニズム*:出資元はユーロ圏)やIMF等からの支援112.9億ユーロを得て、3月に旧国債との交換で発行したばかりのギリシャ新国債の元本319億ユーロ相当分を、額面を大幅に下回る市場価格(平均価格は額面の33.8%)で投資家から買い戻し、債務残高をほぼ予定通り大幅に削減することに成功した。

*(欧州の債務危機への対応として、ユーロ圏が設立した恒久的な金融支援機関、欧州安定メカニズム(European Stability Mechanism; ESM)

 

参考;ESM加盟国の資本金負担割合

 

オーストリア

ベルギー

キプロス

エストニア

フィンランド

フランス

ドイツ

ギリシャ

アイルランド

負担割合

2.783

3.477

0.196

0.186

1.797

20.386

27.146

2.817

1.592

資本金

194.8

243.4

13.7

13.0

125.8

1,427.0

1,900.2

197.2

111.4

内払込金

22.2

27.7

1.6

1.5

14.3

163.1

217.2

22.5

12.7

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イタリア

ルクセンブルク

マルタ

オランダ

ポルトガル

スロバキア

スロベニア

スペイン

合計

負担割合

17.914

0.250

0.073

5.717

2.509

0.824

0.428

11.904

100

資本金

1,253.9

17.5

5.1

400.2

175.6

57.7

29.9

833.2

7,000

内払込金

143.3

2.0

0.6

45.7

20.0

6.6

3.4

95.2

800

(1)負担割合は%、資本金と払込金は億ユーロ

(2)負担割合はESM Keyと呼ばれ、ECB contribution keyに基づいて算出。ECB contribution keyはEU全体に 対する各国の人口とGDPの割合によって算出される(人口とGDPのウエイトは同じ)

(注2)「銀行同盟」とは、欧州債務危機が、各国の政府自身の信用と民間銀行の信用が連鎖的に悪化して深刻化していった2011年末~2012年夏の時期にかけて、この両者間の「負の連鎖」を断ち切るための方策として、切迫した必要に迫られて考え出された政治的なビジョン。具体的には、ユーロ圏ないしEUとしての、金融面でのフレームワークをより統合させようとするもので、①単一の金融監督メカニズム(SSM)、②単一の破たん処理メカニズム、③単一の預金保険制度の3つの側面から構成される。このうち①のSSMを確立することは、ESMから各国の民間銀行に直接、資本注入を行い得るようにするうえでの前提条件ともされている。

 

2013年~2014

2013年の展開を読むポイントは、(1)市場の緊迫感が一服したということです。

トロイカ側が2012年中、このような決定に至るまでの間は、ギリシャの国際収支上の資金ショートやデフォルトを回避し、周辺諸国の資金調達環境が悪化することを防ぐために、もっぱらECBが、異例のオペによって時間稼ぎを行ってきた。

 2011年12月と12年2月の二度にわたり、期間3年という異例の長期間オペであるLTROを実施したほか(図表1)、ギリシャをはじめ、自国の国債を適格担保として使えない国々の民間銀行向けには、いわば「最後の貸し手」機能を発揮して、緊急流動性支援(図表1の「ユーロ圏金融機関向けその他債権」に含まれる)も発動するに至っている。

ECBによるこうした異例の資金供給は、例えばギリシャの民間銀行向けの場合、それが万が一焦げ付いた場合の潜在的な負担は、ギリシャ中銀やギリシャ政府のみが負うのにとどまらず、欧州中央銀行制度の決済システムTARGET2を通じて、ユーロ圏他国、とりわけ健全国の中銀、ひいてはそれらの政府が負担しているのが現実である。これは、ユーロ圏加盟各国が、単一通貨ユーロ、そして単一の中央銀行制度を共有していることから当然ともいえよう。

足許にかけての状況は、ユーロ圏各国等が最終的に上述のような判断に至ったことから、12年夏をピークに、収支幅の悪化傾向にいったん歯止めがかかり、小康状態となっている。

 

ユーロ圏が直面する3つの課題

かといって、13年の欧州債務問題の行方について楽観は禁物であろう。ユーロ圏各国は13年に、ギリシャ等の重債務国側のみならず、ドイツをはじめとする健全国側も含めて、以下のような3つの課題に取り組まなければならない。取り組みの方向性そのものは12年末に定まったものの、実現に向けては各国の最終的な民意の確認など、大きなハードルが残されている。

課題1:財政再建と成長(緊縮に伴う国民生活の痛み)のバランスをどうとるか

 ギリシャの問題は、12年12月の首脳会議による決定で一件落着では決してない。13年は厳しい財政緊縮策の実行段階に移る。同国のストゥルナラス財務相自らが12月のFinancial Times紙によるインタビューで明言しているように、ギリシャのユーロ離脱の可能性はゼロになったわけではなく、仮に同国民が13年、厳しい緊縮策に耐えられなくなった場合には、問題が再燃する可能性がある。

また、2月24~25日に総選挙が予定されているイタリアも同様の問題を抱える。モンティ暫定政権が過去1年余りの間、断行してきた財政緊縮・経済構造改革路線を継続できるかどうか、同国の政治情勢は予断を許さない。万が一、過去1年間の改革路線が後退するような事態に至れば、イタリア、ひいてはユーロ圏全体にとって、11年秋のような危機の再来となる可能性もゼロではなかろう。

課題2:健全国側は、重債務国支援のためのさらなる支援の負担に耐えられるか

 ギリシャはユーロ圏に残留することとなったものの、12年3月のデフォルト、12月の国債買戻しによってもなお、同国が抱える債務残高は過大であると考えられている。これをさらに削減するには、ドイツ等の健全国を中心とするユーロ圏他国側のさらなる支援が不可欠とみられる。ドイツでは13年9~10月頃に総選挙を控えており、同国の今後のユーロ圏へのかかわり方について、度重なる問題国への支援に不満も根強いドイツ国民が、いかなる判断を示すかが試金石となろう。

課題3:「銀行同盟」の実現に向け、前進できるか

「銀行同盟」の強化は、ドラギECB総裁が就任後提唱したもので、その後、「各国の財政負担を重くすることなく、経済統合を強化できる手段」、 「金融危機とソブリン危機の負の連鎖反応を断ち切ることができる手段」として、ユーロ圏各国の首脳間で支持されるに至ったものである。

スペインが典型例であるが、財政運営そのものよりも、自国の金融システムに大きな問題を抱える国の危機対応策として注目される。12月の首脳会議においては、単一の金融監督メカニズム(SSM)の大枠については合意されたものの、肝心の預金保険制度をどうするのか、ギリシャをはじめとする重債務国の銀行を同列に扱えるのか、といった点等は今後の課題として残されている。

このように、欧州債務問題の13年の展開を考えれば、足許は小康状態となっているものの、今後の主な課題について、それぞれ高いハードルが待ち構えており、いわば「危機と背中合わせ」の状態が継続するものとみられる。13年中、統合強化のいかなる枠組みや方策が講じられるのか、そしてそれが期待通りの結果につながるのか、引き続き事態を注意深く見守っていく必要があろう。

 

 ギリシャ政府の反撃;

 ギリシャのプライマリーバランス(利払い前の基礎的財政収支)がじわじわと黒字に近づいているため、政府は以前より強いカードを持っていると感じている。ギリシャ議会は12月8日、欧州連合(EU)の規則で求められている通りにIMFや欧州委員会に見せることなく、2014年の予算案を可決した。

 この採決は、トロイカの代表団が今月アテネに戻ってくる時に、緊迫した会合の舞台をお膳立てしたことになる。

 ギリシャのアントニス・サマラス首相が力を誇示する必要性を感じていることは、理解できる。サマラス首相率いる連立政権は議会の過半数を握っているが、造反者が追加緊縮策に賛成票を投じるのを拒んだ後、今ではギリギリの過半数になっている。一方、左派の急進左派連合(SYRIZA)や右派の「黄金の夜明け」といった野党は、救済協定を再交渉したり、場合によっては単一通貨を捨てるという公約のおかげで、勢力を伸ばしている。

 欧州連合(EU)主導の緊縮策に反発し、債務削減を求めるギリシャのチプラス首相は2日、キプロスを皮切りに就任後初となる欧州訪問を開始した。反緊縮の方針に理解を求めて、ギリシャの味方を増やすことを狙う。

欧州は、ドイツを筆頭に緊縮の徹底を求める「北」と、緊縮への反発が強い「南」に分かれがち。自らも低成長に苦しむフランスは「苦難を乗り越える手助けをしたい」(サパン氏)と改めて表明した。閣内には、支払期限の見直しの協議は容認するとの声も出ている。ただし、ギリシャが求める債務の削減には否定的だ。

 1月26日、右派だが反緊縮や富裕層からの増税を掲げる「独立ギリシャ人」党(13議席獲得)との連立が決定し、合わせて162議席となった。同日、SYRIZAのアレクシス・チプラス党首が首相に就任した。27日には組閣が行われ、アテネ大学経済学教授のヤニス・ヴァルファキス氏が財務相に就任。独立ギリシャ人党首のカメノス氏は国防相に就任した。

緊縮財政に苦しんできたギリシャ国民

 今回のSYRIZAの躍進の最大の理由、それは緊縮財政下の4年間で困窮してきた国民の生活だ。2009年10月、NDからPASOKへの政権交代で、長年の財政赤字が発覚、2010年5月からPASOKのパパンドレウ政権(当時)の下で、国際通貨基金(IMF)、欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)からの融資と引き換えの緊縮財政が開始した。2012年6月の議会再選挙でNDが第1党となり、PASOKや民主主義左派党と連立を組んだ政権でも、緊縮策を継続してきた。

 その4年間で平均賃金は40%も下降した。09年に9%だった失業率は25%に。若年層の失業率は約50%だ。多岐に渡る増税が実施され、一方、医療予算や年金など社会保障は削減された。長期間の失業によるうつ病発症者や自殺者も増加。貧困層は拡大し、栄養失調の児童も増え、幼児死亡率も上昇している。生活に困窮する国民が、超富裕層で特権階級意識の強いNDやPASOKの政治家より、彼に期待するのは共感できる部分もある。

 

新政権とEU協議の行方に注目~国外からもSYRIZAに声援

 チプラス氏は、新聞各紙のインタビューなどでは、冷静に緊縮の緩和、債務再編を訴えている。EUとの協議に困難が伴うことは明らかだが、国外からもSYRIZAの主張に耳を傾けるべきだという意見もある。

フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏は総選挙翌日の26日にラジオ出演し、「ギリシャに課された過度な緊縮財政は悲惨な状況を招いた」と語り、SYRIZAへの支持を表明した。

 緑の党の欧州議会議員のダニエル・コーン=ベンディット氏も「ギリシャは極度の緊縮策により、この4年間で平均賃金が40%も下降している。ギリシャの経済は徐々に回復を見せてきたのだから、少しは緊縮を緩めないと今後の経済成長も見込めない。貧困層の困窮は極限まできている。成長を意識した経済運営を許可してほしいというSYRIZAの主張はリーズナブルだ」と語っている。

 ユーロ圏で反緊縮を掲げる政党が政権を獲得したのは初めてだ。スペインで反緊縮を掲げて勢力を伸ばしている政党「PODEMOS」は、SYRIZAの選挙応援のためにギリシャにかけつけていた。フランスでは昨年11月に30都市で約10万人に達する反緊縮デモが起きている。今年はスペインやポルトガル、フィンランド、英国でも総選挙が行われる。ギリシャ新政権の動向は、他の欧州各国にも影響していくことは間違いないだろう。

 ギリシャの財政破たんが明るみに出たのは、2009年のことだった。その救済のため、2010年春以来、IMFとEUが、二度にわたって2260億ユーロもの援助をしている。

 そのうえ2012年には、ギリシャが外国の銀行などから受けていた融資の半分以上を返済免除にもした。これが総額1000億ユーロだ。この措置で、ドイツでは、ギリシャの国債を持ちすぎていた銀行が倒産し、その救済にドイツ国民の税金が使われた。多額の経済援助の代わりにEUがギリシャに求めたものは、厳しい節税(税金の軽減)と緊縮政策だった。EUとIMFと欧州中央銀行の三者がギリシャに入り、財政を管理した。

 ギリシャ人たちは、自分たちがこれほど素早く墜落できるとはおそらく思っていなかったに違いない。今までは、豊かではなくても、皆が陽気に生きていた国だったのだ。最初、人々はストやデモをして、抵抗した。しかし、財政を握った外国勢は強力だった。そのうち、ギリシャ人は力を失い、絶望し、自殺者も増えた。

 ただ、彼らにはプライドがある。そもそもヨーロッパ文明はギリシャで生まれたと思っている。プラトンもソクラテスもギリシャ人だ。オリンピックの発祥の地でもある。外国人に支配されるのは我慢がならない。ギリシャ国民は屈辱の中でEUを憎んだ。ドイツを憎んだとも言われています。

 ツィプラス党首は40歳。彼の導く道は、しかし、破滅ではないかもしれない。彼は人々に希望を与える。彼は、「貧乏人がこれ以上苦しむことはない。国の復興は、金持ちのお金でやろう」と言っているのだ。彼は生粋の社会主義者だ。資本家に支配された世界を変えようとしている。

 ツィプラス氏は、ギリシャが援助として受け取った多額の借款も、返すかどうかはもう一度最初から交渉するつもりらしい。民営化はまた国営に戻し、首を切った公務員も再雇用する。とにかく、お金が回るようにする。外国から押し付けられた屈辱の緊縮財政には終止符を打つ。

 国民がこの言葉に希望を見ている

EUは今、新しい作戦を練り直す必要に迫られている。交渉が暗礁に乗り上げれば、金融市場に不安が広がる。それは、あっという間にEUを超えて世界へ広がっていくだろう。EUはどうにかして、ユーロという通貨の信用を守らなければならない。

さらに深刻な問題は、ギリシャだけでなく、フランスやイタリア、スペインといった南欧の赤字国が同じ問題を抱えていることだ。しかも、彼らは本当は財政規律よりも、金融緩和をしたがっている。彼らが挙ってギリシャの味方に付くなら、ユーロ移行10周年の2012年に、EUのサクセス物語として称賛されその冥利を一番多く授かった幸運な国だったかもしれないドイツでさえ、ギリシャ支援でのやる気を無くすのは確かだろう。

           (続く・・・)

 

Ⅳ お勧め読み物

1.IMF発:5人のノーベル賞受賞者による、国際経済の重要課題の競演

2014年10月8日掲載

国際通貨基金の電子出版の中で、5人のノーベル賞受賞者が世界経済が直面する最大の問題について、競演しているので、下記の通り仮訳してみました。より正確な内容を確認されたい方は、下記の出典サイトの原文をご覧ください。

出典:http://www.imf.org/external/pubs/ft/fandd/2014/09/nobels.htm

行く手に立ちはだかるもの

5人のノーベル賞受賞者が、将来の世界経済が直面する最大の問題と考えるものを論じる

財務•開発 、2014年9月、 51巻、第3号より

 

地球温暖化: 2つめの不都合な真実

■  ジョージ•A•アカロフ :2001年にノーベル経済学賞

IMFの研究部での客員学者、カリフォルニア大学の経済学名誉教授、バークレー校。彼はアイデンティティ経済学レイチェルKrantonと共著の、「私たちのアイデンティティはどのように、私たちの仕事、賃金および福利を形成するか」の著者です。

人々は歴史(あるいは物語)について考える。 間違った歴史を話すと、あなたはトラブルに自分自身を巻き込みます。 アメリカの言語学者、人類学者、趣味に熱中する者ベンジャミン•リー・ウォーフは1920年代にこの現象を記録しました。 防火エンジニアとしての彼の昼の仕事で、彼は多数の火災がガソリンスタンドで発生したのに気づきました。彼の記録を作品にしはじめながら、ウォーフは、ガソリンのドラム缶を扱う時にしばしばガソリンの運搬を行った労働者は、「空であることを知っていた」樽の周りでタバコに火をつけることを欲したことに気付きました。

同じようなことばの言い回しが、世界を非常に多くのトラブルに追い込んでいます。数年ごとに、世界の指導者たちは壮大な会議に集まります:リオデジャネイロ、京都、ヨハネスブルグ、コペンハーゲン。 厳粛な宣言が行われているが、地球温暖化アクションの缶は、再び道に蹴られています。 地球温暖化の言語は、一方では、個人に、他方では、彼らの政府に直ちに行動を取るようには動機付けしてはいません。

一つの簡単な話は、納得できるとともに真実でもあります。 地球の大気は、私たちの周囲に保護毛布のような役割を果たします。 この毛布は、太陽からのエネルギーが浸透することができますので、太陽が地球を暖め、その時大気が、その暖かさが放射する速度を優しく遅くします。

共同体として私たち人間は、地球という赤ちゃんを持っている。 年々、容赦なく、私たちの赤ちゃんの周りの大気圏のブランケットは重く、重く、重くなってきている。  50マイルの短い道路の走行でさえ、5ガロンのガソリンを使用して、大気中に100ポンドの二酸化炭素を吐き出します。 そのような無意識の行動を通じて、米国の平均的家族は、例えば、このようにして地球のブランケットに週当たり、1800ポンドを付加します。 世界中のすべての家族を合計し、赤ちゃんや毛布についての私たちの直感的な理解でのほんの少しの科学によって、世界が、あらゆる可能性の中で、暖かく、暖かくなってゆくことを確認するのは簡単です。でも親は、そのような状況では、赤ちゃんを救うために急ぐでしょう。 しかし、私たちが地球温暖化について自分自身に伝える物語は、あまりにもつまらなすぎかつ慎重すぎるのです。 私たちは、気候変動に関する政府間パネルの布告を読みました。 私たちは、「科学者」の結論を先送りしています。科学者すべてが、全会一致の掛け声と、多くの場合、偉大な情熱と力で話されてきましたが、科学の専門的な平静さは、メッセージを弱めているのです。 私は20年くらい前の夕食時、有名な天文学者の隣に座っていたのを覚えています。 天文学者に言うことがわからなかったので、私は、気候変動を持ちだしました。  「私たちはまだ人為的気候変動による地球温暖化があることを確認していない」と彼は私に言いました。

その発言は、科学的な言葉では正しく、それは彼の疑いの程度を適切にふくんでいました。 しかし、公共政策の目的のために、人為的な地球温暖化の高い可能性を考えると、そのような警告は無謀です。 親は部屋が暖かすぎないかどうかを判断するために、赤ちゃんの体温を測ることはありません;それと 同様に、地球温暖化のために、私たちは、早急にとるべき行動の物語を必要としています。

私たちは、自分達だけでなく、私たちの政府においても、行動を取る必要があることの正当性と意志を持つような言い回しを必要としています。 地球温暖化の経済性は、経済的問題におけると同様に、理解できるものです。それと戦うための最良の方法は、(かなりの費用をかけて)炭素排出量に均一の税を課すことです; 排出量が所望のレベルまで低下するまで、その税は自動的に上昇させる必要があります。 最適なポリシーは、排出量を削減する方法の研究開発への補助金も求めています。

しかし、地球温暖化は世界的な問題であり、排出は世界中から生じているので、税金や補助金は、世界的でなければなりません。 各国が、その義務が実行されるようなものとして、それを認識する必要があります。 私たちは、 “私たちは、全てが世界的に一緒であるとの、地球同盟を締結する必要があります。 私たちはすべて一緒に協力する必要があることを自分自身に伝える必要があります。 私たちは他の人がどうしようと、私たちはできる限り協力する必要があります。 なぜ? 地球は私たちの美しい赤ちゃんですから。

このように2つの都合の悪い事実があります。1つは、地球温暖化そのものです。  2つ目は、まだそれと戦うことを私たちに強要する物語を自分自身に語っていないことです。

 

需要の拡大 : 未解決の危機

■  ポール•クルーグマン :2008年にノーベル賞を獲得。

プリンストン大学、ニューヨーク•タイムズ紙のコラムニストで経済学と国際関係の教授、「この恐慌を終わらせよう」が近著です。

21世紀の2番目の10年に差しかかって、世界経済―あるいは少なくともその比較的豊かな国々が直面している最大の問題は、多くのエコノミスト達が、私たちが見ることになるとは決して思わなかった問題であります。  1930年代以来初めて、世界は、十分な需要の持続的な不足に苦しんでいるように見えます;人々は、私たちが持っている生産能力を活用するために十分な支出をしていません。

これは、私たちの祖父を悩ませたかもしれないのですが再びやってくることはないという、解決された問題であると思われていました。 しかし、それは起こったのです、そしてその解決策はあいまいなままなのです。

いくつかの生の手っ取り早い数値を提供してみましょう。 私たちはIMFの世界経済見通し(WEO)のデータベースから、「先進国」の集計をすれば、これらの国を合わせた実質GDPは、2000年から2007年の間では18%増加したことがわかります。当時の推測は、中期的に同様の割合を予測していました。しかし 実際には、それは今、2007年~2014年の間には、先進国は、私たちがトレンドだったと思っていたものと比較して10%の不足を意味する、約6%しか成長しなかったようにおもわれます。

 確かに、経済停滞の実際の量がこれよりはるかに少ないことは、広く議論されています; WEOデータベースの先進諸国の集積の現在の生産のギャップの推定値は、わずか2.2%です。 しかし、それは結局二つの理由から、政策がひどく失敗していないことの印として生産ギャップの低い見積もりをすることは非常に間違っているだろう。

第一に、私たちは本当に私たちが自分達の能力を如何に下回って活動しているのかを知りません。米国の労働力の参加や英国の生産性の大幅な下落が100年に1回のものなのか、―すなわち、長期的に、または周期的に、彼らは雇用機会が示されていないための、労働者が脱落している結果なのですか?経済が能力に接近して活動しているか、歴史的には失業率とインフレの対応率とは逆の関係にあるというフィリップス曲線 を作る、賃金カットを受け入れるために労働者の不本意に起因する低レベルの形跡でのインフレの安定性は、低インフレでの横ばいですか? 誰も知らないし、それらが不十分な需要の単純な反射である可能性がある時には、避けることの出来ないものとしての低生産と高失業率を受け入れることは悲劇的でしょう。

第二に、潜在生産力の成長が、見積もりが示唆するのと同程度に実際に下落する範囲までは、これはおそらく短期的な経済トラブルの強力な長期的影響の証拠であり;すなわち、根を下ろす深い世界的な景気後退が、時間の経過とともに、より長期的な経済見通しの大きな劣化につながったように思われることを認めることである。

これはその代わりに、十分な需要を維持することは、短期のためだけでなく、長期的にも、非常に重要であることを意味する。

どちらにしても、やはり、需要の増加が、緊急の優先事項であるべきである。 残念ながら、私たちが2007年以来学んだことは私たちの経済政策決定機関は、大きくて持続的な需要不足に対処するには全く適していないということです。

大いなる安定の間は― –アメリカの経済学者ジェームズ•ストックとマーク•ワトソンが、1980年代半ばの間の、米国でのマクロ経済のボラティリティの減少と呼んだ―、私たちは制御出来るマクロ経済政策を持っていたと思っていました。 財政政策が長期的な問題に焦点を当てる一方で、需要管理は、独立した中央銀行のテクノクラートの担当とされていました。しかし、大規模、持続的なショックに直面し、このシステムが故障していることが判明しました。1面では、中央銀行は、―金利はマイナスたりえないという事実―ゼロ超低金利とバランスシートの大きさへの懸念の両方によって制約されています。それは、借方と貸方の非対称性―前者はカットを余儀なくされ、後者は拡大する義務を負っていない―と政治的な内紛の両方によって拘束されています。 私はときどき、ヨーロッパと米国は現在進行中の危機にさらに悪く反応することができる競争状態にあると冗談いっています; ヨーロッパは現在勝っていますが、その差はあまり大きくはありません。

それは、これらの問題が一時的であることを信じていいだろうし、そうなのかもしれません。 しかし、私たちが今実現している大いなる安定の回復力は、成長を続ける家計負債と生産年齢人口の比較的急速な成長によるものいとされていますが、そのいずれもが戻ってきつつありませんし、わずか政策転換の兆しがあります。

だから、不十分な需要は依然として非常に大きな問題であり、長い時間残り続けるように思われます。私たちは、この状況に対処する方法を見つける必要があります。

 

長期の不況 : 豊かな先進国は中途半端で動けずにいます

■  ロバート•ソロー :1987年にノーベル経済学賞を経済成長理論への彼の貢献のために獲得。マサチューセッツ工科大学の研究所名誉教授。

世界は今後50年間で経済問題で苦しむことが無くなることはないでしょう。 誰もが身近に、次のような問題をかかえているようです。すなわち、気候変動の帰結を処理すること、国家経済の中の所得と富の不平等の増加に対応しそれに失敗すること、そして、豊かな国にとっては、技術と国民各層での仕事の需給との関連での明確な傾向を変えたり調整したりすることです。

しかし、私は、永遠に続くものが少ないことへの疑問、その実際の問題―を提案したいのです:

o 欧州、日本、北米の豊かな経済は現在、一過性のものではない、いわゆる長期不況の挿話にはまっているのでしょうか? この問題を選択下私の理由は、それが真実か、もしくは抜け出す出口がすぐ見つからなければ、それへの対応もできないからであります。

長期の不況という言葉は、1930年台の米国の経済学者アルビン•ハンセンの著作にまでさかのぼりますが―、国民経済(またはそれらのグループ)が、成長が鈍化するだけでなく、もっと具体的に、その潜在的な生産力を完全に活用することが困難もしくは不可能であることが否応なしに継続することに関係します。その当時に戻れば、投資家を満足させる収益率をもたらす投資機会の不足と書いてあるでしょう。 今日のより一般的な簡潔な言い方をすれば、完全な活用での実質金利はマイナスであり、一貫して達成出来るものではありません。

o 長期の停滞が現在の脅威であるという証拠は何ですか? それは2つに分けられます。 第一は、人口と全ての生産要素の両方が、過去と比較して将来的にはより緩やかになるというのが米国の経済学者ロバート•ゴードンによって最も強く主張された議論です。 人口統計の予測はかなり確実です。 全生産要素の伸び―資本と労働の効率性における―についての悲観論の説得力は、情報技術の波が、ちょうど過去の偉大な技術の波―内燃機関、電化、都市化―として生産/福祉を向上させることができないという信念に主として基づいています。長期の停滞の議論は、この低成長シナリオがかなりの確率で起こることによっても成立します。

議論の第二の部分は、最初の問題からでてくるものです。(資本の「拡大」を介して)の人口の増加と(新しい能力の必要性を介して)の技術進歩は、資本集約度を高め、収益を逓減させますが、民間投資収益率の下落を食い止める主な力である。 将来的な低成長では、節約は継続し、収益率が低下し、民間投資が弱くなります。

更には、最近の歴史は、この悲観論を確認していると議論されています。泡企業、ドットコム企業だけが、近年の繁栄を作り出せており、私たちはそれが持続できないことも知っています。私たちは、最後の不況が終わってからの5年後におり、米国でも欧州においても、とりわけ日本は、完全活用のようなものを復元することができていません。 この長期の弱含みは、長期停滞の考えに少なくとも一致しているのです。しかし、完全にではありません。 民間需要の弱さの多くは、住宅および非住宅建設の両方での、支出の不足に直接的にたどり着くことができます。(これは多くのいい賃金の仕事の消失にも説明できる。)原因についての謎はありません。 危機以前の年で住宅バブルを経験したこれ等の経済は、住宅の過剰在庫と乱れたモーゲージ市場が残されています。 同様なことは、オフィスビルや他のビジネス構造でも発生しています。

それにもかかわらず、いくつかの謎が残ります。米国では、企業収益が非常に強くなってきましたが、少なくとも、事業投資は、景気後退から部分的にのみ回復しました。 結果は、ブルッキングス研究所シニアフェローマーティンベイリーとバリー•ボスワースによる未発表の論文で指摘したように、ビジネスの節約は、2009年以来、事業投資を超えています。企業部門は、通常の借越し企業が、経済の他の部分への貸し手になっています。 停滞仮説が示唆するように、これはむしろ、投資収益率の予想された下落に対する反動のようなにおいです。

慎重な―ファッショナブルな慎重さですか?―結論は、停滞仮説は確実なものではありませんが、それはロングショットでも無いということです。 ハンセンの悩みは、第二次世界大戦と続く政府の膨張によって洗い流されました。 現在、適切な政策対応について考え始める必要があります。

 

全てを取り込むこと :  途上国の経済の成長を可能にし、適応させること

■ マイケル•スペンスウォン :2001年にノーベル経済学賞を獲得。

彼はビジネスのニューヨーク大学スターン•スクールの経済学教授、著名な外交問題評議会での客員研究員、スタンフォード大学フーバー研究所のシニアフェロー、及びフォングローバル研究所の学術委員会委員長である。

世界経済には多くの困難な課題がありますが、私は、中心に据えるべき挑戦は、途上国の成長に配慮し、第二次世界大戦後に始まった収束プロセスを完了させることだと思います。 これは単に大規模な貧困の削減ではなく、戦後初めて大幅な経済成長を経験し、世界の人口の85%の間で、健康で生産的、そして創造的な生活のための機会を拡大する可能性を秘めています。全てを取り込むこの大規模な拡大は、世紀の決定的な特徴である可能性を秘めています。 しかし、それを実際に行うことは、云うほど簡単ではないのです。

包括性は、心的態度、政策対応、および金融機関•国際•国内の変化を必要とします。 目標は、主要な遷移が所得と富の分配に相対価格の推移、先進国と発展途上国の両方での、経済構造の劇的な変化、及び所得と富の配分での変化を強要する主な経過期間としてさえも、可能な限り全体的に利益をもたらすように、発展途上国を向上させることです。

うまくゆけば、収束プロセスは、今後25年から30年後の世界の経済の規模を3倍にし、もし私たちのベースラインが現在ではなく、1950年のスタートである場合は、もっと大きな倍率となるでしょう。天然資源の世界の使用を調整することなく、この過程を続けようとすると、環境や生態系の転換点の後に致命的な障害では、成長が停止し、ゆっくりとなって停止に至るか、さらに悪くなるのかのどちらかになるでしょう。 環境の持続可能性は、発展途上国の増大に対応するために不可欠である。

すべての経済は有形•無形資産の基盤の上に置かれています。過少投資し、これらの資産を縮小するか、または少なくとも現状維持しながら、しばらくの間は成長を維持することは、かなり可能でしょうが、これを無期限に継続することはできません。 私たちは、自然資本が世界経済を下支えする資産の重要な下位分類であることを学んでいます。 自然資本への過少投資は、成長の質を低下させるだけでなく、最終的にそれを弱体化させる、あるいはマイナス領域にもたらします。 自然資本を測定するという現在の作業が、世界的に持続可能な成長パターンに向かって移動する上での1つの重要なステップである理由です。

第二に、分配の問題があります。 先進国では、技術的、世界的な市場の力は、自動化、仲介の排除、およびグローバルなサプライチェーンの進化におけるオフショアリングを介して、ジョブの拡大アレイを低減または排除されている。 これは非常に速く起こっているため、労働市場はバランスオフになっている。 人的資本はあまり世界経済のシフト需要側と一致します。 均衡に向けて復帰を加速することはほとんどどこでも成長と公平な分配のための優先度が高いのです。 そして、これが今よりも速く発生した場合であっても、不平等が残ります。

現在、存在する不平等の多様な形態に対処する方法についてのコンセンサスは存在しません。 或者は、私たちが貧困に焦点を当て、市場の結果が残りの部分を決めさせなければならないと考えています。 その他の者は、絶対的な敗者– 例えば失業の若者および、最近経験した大規模な経済ショック後の負担の分担を心配しています。また、他の者たちは、相対的な利益および損失に対する絶対的なものに着目し、絶対的なものを強調しています。 これらの違いにもかかわらず、ほとんどの先進および発展途上の社会は、世代間での上昇志向の欲求を共有しています。 その傾向は国によって異なるので、多くの国々で心配です。

省力化、技術偏重の、資本節約のデジタル技術が私たちの多くが信じているほど強力である場合、それらは劇的に生産性を向上します。 これは、得られた「余剰」を生産するために展開し、これまで以上に商品やサービスを消費する必要があることは、少なくとも高所得国では、明白ではありません。 おそらくそれは、余暇を拡張するために使用されるべきである。 そして多分労働時間は、意志、あるいは平均的に短く、なるべきである。 もしそうなら、私たちは記録可能な市場取引で取得された商品やサービスの合計値よりも福祉のより総合的な対策が必要になります。大多数がフルタイムで働いて増大する少数派の失業者といった、雇用モデルが従来の意味で同じままである場合、この進化は機能しません。

安定と経済政策の国際協調に目を向けると、それは失敗の分野としてこれを特徴づけるために不公平になる。 関税及び貿易に関する一般協定は、世界経済を開放し、活躍の場を平準化し、途上国の成長を実現する上での材料の役割を持っていました。 政府と中央銀行が重要なプラスの貢献をして、危機状況に協力しています。 そして、国際的な金融機関は新興国の貧困削減や経済の安定に大きく貢献し、世界経済や金融システムの挙動の成長の理解に照らして政策に関して柔軟性を示してきました。

しかし、これらの機関におけるガバナンス改革は、相対的なサイズの変更および主要新興国の影響に遅れをとっています。 つまり、信頼性と権威、したがって政策を調整する能力を損なっています。 第二に、特に金融や金融政策の分野での、過剰は、その目標が国内に焦点を与えることが求められる国策設定計画によってほとんど無視されています。 政策立案者は、これらの決定のより広範な影響と帰還ループに関係なく、個別のネットワークにおける活動拠点を規制しているように見える。

効果的な超国家的なガバナンスは、最高の状態で進行中の作業です。 一つは、規制とマクロ経済運営、世界経済の立ち上がりネットワーク化された相互依存に沿って、またはその一部をもたらすという課題を垣間見るためには、欧州連合(EU)とユーロ圏を見ただけで済みます。 根本的な問題は主権、アイデンティティ、そして民主的な自己決定である。

私たちの子供や孫は、所得水準、発達段階、および文化に関しては、はるかに大きい相互連携、およびかなり経済的質量とパワーの点で分布し、不均一であり、グローバル経済の中で生活するように設定されている。 この旅で、持続可能な安定した、かつ公正にする方法を学ぶことは、すべての国―先進国か発展途上国かどうかに関係なく―とその市民にとっての大きな経済的挑戦である。

 

格差の拡大  経済は社会に奉仕すべし

■ ジョセフ•E.スティグリッツ :2001年にノーベル経済学賞を獲得

大学コロンビア大学教授、ブルース•C. グリーンウォルー」学習社会の作成最も最近では「成長、発展、社会進歩への新しいアプローチ」。の著者。

第二次世界大戦後の世界経済の主要な戦闘は、代替経済システム上の戦いだった。共産主義や資本主義はすべての成長と繁栄を達成するための最善の方法を提供しましたか? ベルリンの壁の崩壊で、その戦いは終わった。 しかし、新興の新しいものがあります:市場経済のどのような形が最適かの問題です。

長い間、アメリカの民主主義の資本主義が勝利に見えました。 米国はワシントン•コンセンサスと呼ばれるようになったポリシーのセットを通じて、世界中の規制緩和、民営化、自由化を押した。 しかし、それは、その行き過ぎから市場を救った政府だったとき、2008年の世界金融危機が来た。 政府の役割を最小限にする試みは無残に失敗し、政府は前例のない行動を取ることに至りました。

その直後、多くの人たちが米国の経済システムを詳しく見ました。 四半世紀以上の間、停滞の平均的な収入で、それは、このシステムは、それが一番上の層にある人たちのために非常にうまくいっていたとしても、多くの市民のために与えることをしなかったことが明らかになった。そしてその政治体制さえもが問われるようになった:ほとんどの経済学者が再発を防ぐのに必要に見えた改革に抵抗するために危機にもたらされた銀行の能力によってそのように明確に証明された政治的不平等に変形された経済的不平等。 民主主義は政治指導者の選択のための普通選挙以上のもので、アメリカの民主主義の成果は、大いに、「一人一票」よりは「1ドル、一票」とより同じように見えました。

フランスの経済学者トーマスPikettyは、高レベルの不平等は、それが資本主義の自然な姿の表れと主張し、戦争は物事が異なっていたことがもたらした連帯の結果として、第二次世界大戦後の短い間奏中にだけあった自然な状態を表していると主張してきた。  Pikettyは、他の人が指摘しているものを確認した:過去の3分の1世紀の所得と富の不平等の両方で大幅な増加と継承された富の重要性が高まっています。 彼は、これらの傾向が継続すると予測しています。

私は、この高くて増加している不平等の水準は、資本主義の必然的な結果ではなく、またそれは容赦ない経済力の作業でもないと信じています。力強い成長で、その市民、とりわけ底辺の半分の市民が、米国のものよりはるかに良く暮らしてゆけるはるかに低い不平等のレベルを持つ国があります。 いくつかの国では大幅に近年、とくにブラジルでは、不平等を削減しました。 米国の高成長不平等は、その政策や政治などによるもので、米国•英国を見習っているものは、同様の結果を見せています。 不平等は、国の代用の資本主義 横行独占や寡占、企業や銀行の豊富な、救済措置に関する政府•授与メリット、コーポレート•ガバナンスの不備の結果であり、そして税法は、金持ちがオフショアのタックス•ヘイブンに彼らのお金を移動し、税の公正な彼らの分担分よりもはるかに少ない税を支払うことを認めています。

IMFは正に、最近の経済パフォーマンスに関してこの不等式の悪影響を強調している。 私の本「不平等の価格」で、私たちは、同時により多くの成長と安定、よりよい平等を持つ方法を説明し、特に米国の不平等が両極端に達しているのと同じ国の説明もしています。

米国のデータは十分に示している様に、通貨浸透経済が機能していません。これは、不平等のあまりに多くが、家賃探し(トップが国家のパイのもっともっと大きな部分を自分たちのものにすること)および不平等のあまりの一番下にあるものは彼らの期待通りとなるチャンスが決してなかったことを暗示している機会の平等の欠如から生じている時にはその通りです。

米国および他のいくつかの国で現われている偽の資本主義は、不平等の一形態の増加が他の形態の不平等を増加させる悪質な結びつきの中で、簡単に経済的不平等を政治的な不平等に変えることができる欠陥のある民主主義の結果であることを予測できたそして予測された結果であります。

今後数十年で世界経済が直面する主要な課題は、ただ、市場経済の行き過ぎ―例えば近年における、金融機関によって明らかに過剰なリスクテイク、略奪的融資、および市場操作を防止すること―を単にてなづけること以上のことです。 それは、市場は激しい競争が国の収入の大きな割合をどのように自分のものにするかおよび経済をうまく機能させるように設計された規制をどのように回避するかに焦点を当てたイノベーションの種類ではなく、生活水準を上昇させる技術革新をもたらす力強い競争によって、機能すると思われるような市場を作ることを意味するのです。

これは、力強い経済成長だけでなく、繁栄の共有を確かなものとすることを必要とします。 それは、経済が社会のしもべであり、その逆はありえないことを確かなものとすることを意味します。経済のグローバル化や、ユーロ圏の創造を伴う経済の「発展」は、-賃金大幅カットや社会の幅広い帯状のための公益の大きなカットと関連する時には、私たちは両端で混同する手段を使っているのかどうかを尋ねなければなりません。

そして、私たちのグローバルな政治が直面する主要な課題は、民主的なプロセスは、本当に一般市民の利益を代表することを確実にすることである。 政治において、お金の力を破ることは容易ではないだろう。しかし、もしそれをしなければ、私たちの経済と私たちの民主主義において、失望に直面するでしょう。

 

2. イアン・ブレマー がタイムズ紙に掲げた2015年度の世界リスク   1月10日掲載

今回は、かのイアン・ブレマー がタイムズ紙に掲げた2015年度の世界リスクの記事の概要です。ご承知の通り、イアン・ブレマー は、24歳のとき、名門スタンフォード大学で政治学の博士号を取得した「天才政治学者」で、世界で名高い政治リスク分析会社「ユーラシア・グループ」を率いており、45歳である。

2015年には、世界の大国間の政治的対立は、冷戦の終結以来、どの時点よりも大きくなるまさに激動の年となると予測しています。ロシアと米国の関係は完全に壊れている。中国の強力な大統領習近平は、新たな経済を模索中で、その効果が東アジアと世界全体に及ぶだろう。地政学的不確実性は、トルコ、湾岸アラブ諸国、ブラジルとインドに顕著。

2年前に日本で公演したイアン・ブレマー氏は、 世界中が「経済危機でヨーロッパが崩壊する」と大騒ぎしていたその1~2年、彼だけは最初からはっきりと「ヨーロッパの問題は深刻だが、彼らは時間を掛けながら何とか乗り越えていくだろう」と予測しており、どうやらそれに近い動きであったようだ。その彼が今回は、今年のトップリスクは、ヨーロッパでみられ、一段と破砕された政治環境が、紛争の新しいソースを生成しているーと変わって来ているのです。

トップのリスク: ヨーロッパの政治を掲げ、英独のEU離れの勢力の台頭、フランスの弱体化、ロシアとISISの脅威が欧州の安全保障への懸念だとしています。

2番目のリスク: ロシアで、制裁と原油価格の下落は、プーチン大統領を激怒させるのには十分でしたが、彼の行動を抑制するのには十分ではなく、モスクワはウクライナに圧力をかけ続け、米国と欧州の制裁はきつくなり、ロシアの経済がおちるので、プーチンの支持率は、西に対峙する彼の意欲に依存。

3番目のリスク: 「中国の景気減速の影響」で、中国の経済成長は2015年に遅くなりますが、それはすべて習国家主席の計画の一部で、彼の歴史的に野心的な経済改革の努力は、低いけれどもより持続可能な成長のレベルを要求する消費者主導の経済モデルに彼の国を変えてゆくことです。

継続的な減速は中国内部での影響を少なくすべきです。しかし、それらの経済が商品に飢えた中国との活況貿易に依存するようになってきているブラジル、オーストラリア、インドネシア、タイ、のような国では、痛みを感じるでしょう。

4番目のリスク: 「金融の兵器化」です。世界中で重要な影響力を発揮したいオバマ政権は、ワシントンが新しい仕掛けで金融を兵器として使っています。米国は、外交のツールとして、ニンジン(資本市場へのアクセス)とスティック(様々なタイプの制裁)を使用しています。その利点はかなりのものです。

この戦略のリスクは、米国のワシントンとターゲットとされた国家間の銃撃戦に米国の企業を巻き込みダメージを与える危険性があることです。大西洋諸国との関係は同じ理由で苦しむ可能性があります。

5番目のリスク: 「イラクとシリアを越えるISIS」です。ISISは、イラクとシリアでの軍の挫折に直面しているが、その思想的範囲は、2015年に中東·北アフリカ地域全体に広がっていくでしょう。それがイエメン、ヨルダン、サウジアラビアで新しいユニットを設定することにより、有機的に成長し、組織の拡大を刺激します。

他のジハード主義の組織をそのランクに参加するよう刺激し、すでにエジプトのアンサールBaytアルMaqdasとリビアでのイスラム主義者が、ISISに忠誠を約束している。過激派の影響力が大きくなるにつれて、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプトなどのスンニ派の国々へのリスクが上昇します。

6番目のリスク: 「弱い現職」です。昨年かろうじて再選を勝ちとった多くの微弱な政治指導者達は、2015年には、ブラジル、コロンビア、南アフリカ、ナイジェリアとトルコ等の現職は、彼らの政治的アジェンダを制定しようとするので、断固とした反対と手ごわい障害に直面するでしょう。

7番目のリスク: 「戦略的セクターの台頭」です。2015年のグローバル企業は、ますます彼らの政治的目標と調和して活動する企業を支援し、そうでないものを罰する、経済成長よりも政治的安定に重点を置いているリスク嫌いの政府に一層依存するでしょう。

私たちは、より強力な政府と戦うための武器を探しているならず者国家と同様に、国がすでに経済においてより重要な役割を果たしている新興市場においてこの傾向を見るでしょう。しかし、我々はまた、国家安全保障の優先順位が、現在の技術、通信、金融会社を含んでいる軍産複合体を、膨らませている米国で、それを見るでしょう。

 ホームページを模様替えしました。お楽しみ下さい!!  (編集責任者 免出)

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