2011年11月1日更新

2011年11月1日更新

2011年11月の税を考える週間に-財政再建を考えてみましょう-

 我が国財政の現状はと言えば、約90兆円の歳出のうち、約半分の44兆円を国債発行で賄っており、GDPに対する公的債務の残高は200%に迫る勢いで、もはや限界に近いとの専門家の意見が多くなっています。次世代への富の移転ともいうべき国民の貯蓄がマイナス(赤字)に転落したのは、2009年でした。このことは、もはや日本経済が資本ストックの更新費用を賄えない状況にある事実を示しています。しかも、日本の社会保障予算は、国の貯蓄の赤字幅を拡大させ、そのスピードは、毎年1兆円の膨張のペースであります。その意味で、社会保障と税の一体改革案の推進は避けて通れません。それを避けたり先送りすることは、単に後世代へのつけ回しだけにとどまらず、国際社会(又は市場)からも経済制裁を受けることになりかねないのです。・・・・・・・・そのような中で、G20 トロント・サミット宣言(2010年6月26、27日) (仮訳)(抜粋)では、
『・・・・・・先進国は, 2013年までに少なくとも赤字を半減させ,2016年までに政府債務の対GDP比を安定化又は低下させる財政計画にコミットした。日本の状況を認識し,我々は,成長戦略とともに最近発表された日本政府の財政健全化計画を歓迎する。・・・・』としています。

 そこで、今回のトピック第1号では、財政赤字が急増しているアメリカにおける上院予算委員会の税制に関する公聴会での、学識経験者の証言等を掲げることにしました。証言者に求められたのは、アメリカにおける1986年の大規模な税制改正以降、現在の税制に至った経緯と問題点およびあるべき将来の税制についてでした。民間と行政の双方を経験している税のプロの証言は、興味あるところです。

 トピックの第2号では、財務省作成の『主要国の財政再建策』を引用し、参考での具体例では、G7の中での財政の優等生たるカナダについて、アメリカの学者による研究報告『カナダの財政改革の勝利』と題するレポートの紹介文を掲げました。このレポートからの教訓は、
(1) 大きな財政赤字は、主に歳出のカットによる10年間の財政規律によって、黒字へと転換できる
(2) 今日の政治家は、「経済が悪い間は、国の歳出をカットすべきではない」とのケインジアンの考えを支持しない
というものでした。
このレポーターは、アメリカも同じことができるかどうかの自問自答で、『わかりませんし、何年かかるかもわかりません。しかし確かなことは、政治の意思が存在するなら、政治の働きかけが正しければ、アメリカの予算の状態は、大きな増税なしに方向転換できるということです。』・・・で結んでいます。税の本棚に追加した「カナダにおける財政連邦主義と公共サービスの供給」と合わせお読みいただけるといいでしょう。

 3番目のトピックは、わが国でも、増税は、歳出の削減はもとより、税以外の財源(行政の無駄の排除、行政の民営化など)の可能性の検討が十分になされた後でなければ、国民の了解は得られないのではとの前提で、いろんな見直しがおこなわれています。そこで、アメリカの非営利法人で、国の財政のダウンサイジング(小さな政府)のテーマに特化しているサイトから、アメリカにおける今後10年間の歳出削減等でできることについての提言をピックアップしてみました。

 4番目のトピックは、わが国でも、すでに検討が行われている、行政の効率化の1つの例としての「税と社会保険料徴収の統合」についてです。国際機関等の報告書の中から、各国の状況が分かる部分を抜粋してみました。

 最後のトピックとしては、OECDのレポート等の中から、比較情報シリーズの税務行政比較最新号の概要(目次と要約)を掲げ、世界各国の税務執行の状況が分かる最新情報の概要を翻訳してみました。

 付録は、「税の図書館の書棚」および「税の扉」への追加図書と追加サイトを掲げました。

 税の細かな内容は、専門家にお任せするとしても、主権者たるもの、税の納め方、使い方についての核心部分については、必要最低限の正しい見識を持つべきではないでしょうか!! 後世代の子供たちへの借金のつけ回しをしないためにも、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍ぶべきことがあるのに、自分たちの目の前の小さな(?)損得に目を奪われてはいませんか? 国の金は、自分の金でないからどうでもよいと考えてはいませんか? 国家財政を家庭の主婦/主夫の立場から、税についての常識をおさらいしながら、考えてみようではありませんか!!

 尚、翻訳等の文責は、すべて当図書館にあることをお断り申し上げます。

 正確な内容は、引用している出典の原文を参照ください。文書そのものの著作権等は、それぞれの文書に出典を表示しておりますので、誤りなきよう御願い申します。

渋谷桜ケ丘「税の図書館」編集員 免出

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トピックスの目次
タイトル 英語
トピック第1号:アメリカ上院財政委員会の公聴会での証言等  
 1 委員の開会あいさつ  
  1-1:民主党モンタナ・上院議員 マックス・バッカス
  1-2:共和党ユタ州・上院議員 オリーン・ハッチ
 2 ゴールドバーグ前IRS長官の証言
 3 エリック・ソロモンとマーク・A・ワインバーガー前財務次官補の証言
 参考:1986年税制改正の25周年記念日(10月22日)の記事(アメリカでの25年前と現在の経済指標等の比較)
トピック第2号:主要国の財政再建策(財務省2010年9月)  
 参考:「カナダの予算での成功例」レポートの紹介
トピック第3号:アメリカ連邦政府のダウンサイジング(民間団体の提言)
トピック第4号:税と社会保険料の徴収の統合(IMFのWP)及びOECDの比較情報シリーズより
トピック第5号:OECD 比較情報シリーズの税務執行での各国比較の最新版のご紹介
付録
 (1) 税の図書館の本棚への追加
 (2) 税の扉での追加サイト
 

 本棚への追加のものは次の通りです。トピックスと併せお読みいただくと勉強になりますよ。

付録

(1) 「税の図書館」の本棚への追加
タイトル サイト
主要国の財政再建策(財務省2010年9月) 
ゴールドバーグ前IRS長官の証言
エリック・ソロモンとマーク・A・ワインバーガー前財務次官補の証言
カナダの予算での成功例
参考文献:カナダにおける財政連邦主義と公共サービスの供給
税と社会保険料の徴収の統合  
 (OECDの比較情報最新版より)
 参考文献:(IMFのWP)
税務大学のタックスジャーナルからの図書館入り
   出典:http://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/journal.htm
発表年月 タイトル
平成20年10月 第62回IFA総会-議題2及びセミナーD・Jの評釈と主な論点の研究-(PDF/262KB)
平成21年2月 第62回IFA総会-無差別原則をめぐる議題1及びセミナーAにおける議論の紹介-(PDF/323KB)
平成21年6月 タックス・ヘイブンとの租税情報交換条約(TIEA)(PDF/377KB)
平成21年6月 韓国の税務行政と税制の概要(PDF/719KB)
平成21年10月 インドネシアの税務行政と税制の概要(PDF/852KB)
平成22年2月 第63回IFA総会
-総会の主なテーマのポイントとセミナーE・Iのテーマを巡る議論-
(PDF/645KB)
平成22年6月 オーストラリアにおける税制と税務行政(PDF/994KB)
平成23年5月 第64回IFA(国際租税協会)年次総会(PDF/951KB)
平成23年5月 カナダの税務行政と税制の概要(PDF/1,018KB)
(2) 「税の扉」への追加サイト
サイトの作成者・機関と主な情報 英語
1.税法学者のブログ・ネットワーク
2.タックス・ジャステイス:TJN イギリスの民間団体(但し登録地はベルギー) イギリスの会計団体等が、ロンドンのシンクタンクとして2004年に始めたもの。
3.会計の学位取得の案内(アメリカ)101の税のブログ
4.市民のための税の正義(アメリカ)
5.社会科学のe図書館のブログ
6.世界の金融統合
7.主要国の歳入当局のサイト一覧  
8.OECD.比較情報一覧(和英:p4)  

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