2013年3月4日更新

2013年3月4日更新

はじめに

 昨年末の総選挙での新政権の誕生により、公共事業、金融緩和及び成長戦略の3本の矢の政策の組み合わせを受けて、市場はわが国の円安と株価の上昇を一時的にもたらしています。また、新政権が、今回の税制改正大綱では「デフレからの脱却」を最優先課題に位置付け、民間企業の設備投資や雇用拡大の呼び水となる政策減税が盛り込まれました。法人減税では平均給与を増やした企業に増加額の1割を税額控除したり、設備投資を前年度より10%超増やした企業が投資額の3%を控除できたりする措置も新設。企業がため込んだ内部留保を雇用や設備投資に回し、景気浮揚につながることを期待しています。祖父母が孫に教育資金を贈る場合、1人当たり1500万円まで贈与税を非課税とする制度を設けて、高齢層に偏る個人金融資産の活用をうながそうとしています。

 一方、海の向こうのアメリカでは、2期目の大統領に就任したオバマ政権が直面した「財政の崖」問題は、万一2013年1月1日までに何の対応も取られなくて、減税失効や歳出の自動削減が重なる「財政の崖」からの転落が起きるとしたら、米政府の税収は年5000億ドル増加し、連邦政府の財政赤字は大幅に縮小する一方で、消費者の購買力が大幅に低下するなど、米経済はリセッション(景気後退)に陥る恐れがあるとエコノミストは指摘していました。 しかし、期限ぎりぎりに、年収45万ドル超の世帯への実質増税を盛り込んだ回避案によって、急激な財政緊縮が景気に大打撃を与える事態は回避できたようですが、根本的な解決が先延ばしの状態であることに変わりはありません。その先送りの代表者が歳出の削減でありますが、今回の1次的な回避策では、米国における富裕層の層の厚さが、増税の景気への悪影響を吸収してもなおあまりがある懐の深さを示しているようです。いずれにしても、長期的な財政再建のためには、問題が山積しており、オバマ大統領の一般教書演説でも、国民と議会(両党の)および政府の一体となった取り組みの必要性が強調されています。

 同じく海の向こうのヨーロッパでは、EU・IMF等から支援を受けているギリシャ、アイルランド、ポルトガルの財政危機を契機に、EMU(経済通貨同盟)の経済ガバナンスは重大な欠陥があることが改めて浮き彫りにされました。特にEUでは財政政策が各国の主権にゆだねられていますが、単一通貨ユーロの信認にとっては財政規律の遵守が重要であります。そこで、「安定成長協定」等の財政規律が設けられていたのですが、実際にはそれを遵守させるメカニズムが不十分であり、結果として多くのユーロ参加国で財政状況が著しく悪化することとなったのでした。そのため、EU各国政府は、財政再建を進める一方で、EU全体としての経済ガバナンスを向上させるために、財政規律強化のための政策決定を行っています。それらの政策では、歳入の確保のための税制改正、徴税の強化等と、歳出削減の努力等が柱となっているようです。

 税の執行面では、英国の脱税者への総合的取り組みに代表されるように、EC全体において、徴税の強化策が打ち出されています。財政再建の一環としての、歳入の確保にも、各国でも苦労しているようであります。特に国際課税の面では、国境を超える商取引の拡大に伴う、国の課税権の網をくぐろうとするものを取り締まる必要が増加していることから、情報交換のさらなる強化と、一体的な調査体制等の促進がなされるものと思われます。
 これ等の動きは、税の優遇で工場誘致を進めてきた東南アジア諸国でも、移転価格税制等の導入を通じて、外資への課税を強化する動きも出始めているようです。

 さて;
 我が国では、目下確定申告期間の真っ只中であります。そこで、トピックスでは、アメリカにおける確定申告に関わる小記事を取り上げてみました。

 その1申告書作成業者の選択での留意事項では、内国歳入庁自ら、そのホームページにおいて、金を払って確定申告書の作成を依頼するときの、その代理人を選ぶうえでの留意点を書いていましたので、翻訳してみました。我が国の税理士制度に相当するものが存在しないために、公認会計士、弁護士、OB職員の登録代書人以外の、無資格の代理人が確定申告時期に横行していたために、その質を維持するために、登録制度〔84万人が登録されているそうです〕が導入され、今年からは、代理人の番号制度を設け、申告書への記載が義務付けられていますし、上記3者以外の代理人等には研修等の義務も課されているようです。

 その2IRSの調査を受けることとなる15の申告では、こんなことをすると歳入庁の調査を受けることになりますよとの警告を兼ねたような記事で、フォーブス誌のホームページに掲載されたものです。

 その3IRS次長の2012年分の議会証言は、一昨年の、アメリカの個人納税者の確定申告への、歳入庁の取り組みについて、上院予算委員会での次長が行った証言を抄訳したものです。電子申告が80%を超えているアメリカにおいても、いろんな問題が生じていることが分かります。

 なお、確定申告に当たっては、国税庁のタックスアンサーやインターネットでの勉強で解決できない場合には、無料納税相談の案内も、国税庁のホームページにありますが、当協会のホームページの「お知らせコーナー」でも、税務署の電話番号等の案内、税理士会での電話相談のご案内等を行っておりますので、参考にしてください。期限内に正しい確定申告をしてすっきりしましょう・・・。

渋谷桜ケ丘「税の図書館」編集員 免出

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トピックスの目次
トピックス 英語
財政の崖の克服について知っておくべき10のこと(米国)
脱税包囲網への英国歳入庁の取り組み(英国)
アメリカの確定申告事情(米国)  
 その1:申告書作成業者の選択での留意事項
 その2:IRSの調査を受けることとなる15の申告
 その3:IRS次長の2012年分の議会証言(抄訳)
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表題 日本語 英語
平成25年度税制改正大綱    
 ・平成25年度税制改正要望    
 ・税制改正の大綱  
 ・税制改正の大綱の概要  
平成24年度    
 ・パンフレット「平成24年度税制改正」    
 ・税制改正の解説    
納税者救済法(ATRA)  
ECB(ヨーロッパ中央銀行)の加盟国の財政状況(概要)報告  
オバマ大統領の一般教書演説  

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